1月8日 NHK海外ネットワーク
ミッド・ロムニー氏は
ハーバード大学の大学院を卒業した後 投資会社を設立し大きな成功を収め
東海岸のエリートとも呼ばれ、
マサチューセッツ州知事時代には財政再建に手腕を発揮した。
その実績を元に
大統領選挙の最大の争点である経済問題に最も精通しているとアピールし、
豊かな選挙資金を背景に世論調査でも常に安定した支持を維持している。
しかし対立する新鋭からは“優柔不断だ”と批判されている。
さらにロムニー氏にとってアキレス腱になると心配されているのが
信仰する宗教がアメリカで少数派のモルモン教だということである。
アイオワ州の党員集会でロムニー氏は勝利したものの
得票率は25%にとどまった。
アイオワ州ではキリスト教の伝統的な価値観を重んずる人が多く、
ロムニー氏の信仰を敬遠したのではないかという見方もある。
アメリカ建国以来の大統領は44人。
モルモン教徒が大統領になったことは無い。
ユタ州ソルトレイクシティーのモルモン教の本部は、
1847年からモルモン教徒の信仰の中心となってきた。
本部には巨大な神殿が設けられ、
敷地内にはイエス・キリストの像が置かれている。
アメリカ国内に信者は600万人。
しかし人口3億余のアメリカでは少数派である。
モルモン教末日生徒(まつじつせいと)イエス・キリスト教会は
19世紀、ジョセフ・スミスという青年によって創設された。
しかし、“モルモン教はキリスト教ではない”と避難され
信者の農地や家が焼かれ、
スミス自身も殺害されるという迫害を受けた歴史がある。
ロムニー氏は19歳から2年半、フランスで信仰を広める活動をした経験もある。
今もボストン郊外の教会に通っている。
候補者個人の宗教的な価値観がとりわけ重視される傾向が強い共和党の候補者選び。
ロムニー氏が少数派の宗教を信仰していることが
有権者の選択にどこまで影響するのか焦点のひとつになりそうである。
共和党の候補者選びはアイオワからニューハンプシャーに戦いの場が移される。
ニューハンプシャー州はとなりの州の知事を務めていたロムニー氏の地盤で、
支持率41%と優位に立っているが
40%の人が誰に投票するか決めていない。
鍵を握るのは伝統的な価値観の重視を訴える保守派の有権者。
ロムニー氏をオバマ大統領と政策が似た「穏健派」と批判する人たちも目立つ。
共和党の候補者選びは
優位に立つロムニー氏に対して保守派がどこまで迫れるかいう構図になりつつある。
保守派の支持は今は多くの候補者に分散しているが
今後、一本化すればロムニー氏にとって大きな脅威である。
当面は11州で候補者選びが行なわれる3月6日の“スーパーチューズデー”に向け、
保守派がどう動くか注目される。