1月7日 NHK海外ネットワーク
再選を目ざす現職オバマ大統領は、
アメリカの各種世論調査の多くで共和党の有力候補者たちをリードはしているものの、
前回の選挙のような熱狂的な支持は影を潜めている。
その最大の理由は長引く不況に対する不満である。
投票まで1年をきった年明けに
民主党の集会でオバマ大統領は経済の建て直しに苦慮していることを認めた。
経済危機は有権者の心理に大きな影響を与えている。
中小企業や工場で働く人が多いペンシルベニア州スクラントンは
失業率8%台後半と高い水準である。
4年前この町で開かれた集会でオバマ大統領は“自分は生活者の立場”と訴えた。
民主党支持者は、前回の選挙でオバマ大統領に強く期待したが、
今は“景気への不満”が皆の会話に上る。
都市部のビジネスマンのオバマ支持者にも変化が起きている。
もともと共闘支持だったニューヨークの投資ファンドのトップは、
4年前のリーマンショックに始まった金融危機を防げなかったブッシュ政権に失望し、
前回の大統領選でオバマ氏と民主党を支援した。
しかしオバマ大統領がウォール街への監督強化をしながら、
一向に景気回復を実現できないことに裏切られたという気持ちを抱いている。
オバマ大統領から離れ、
今は企業経営の経験のある共和党ロムニー氏の支援に回った。
4年前、出口の見えない二つの戦争と
戦後最悪の金融危機に苦しむアメリカの再生を訴えて当選したオバマ大統領だが、
事態が一向に改善しないことに強い失望と苛立ちが広がっている。
一方、オバマ大統領の政策に反対するだけの野党共和党の候補も
支持する気になれないという声も根強い。
こうした根深い政治不信の中で格差の拡大に抗議するデモが続いている。
オバマ大統領と共和党の候補はいずれも
有権者の積極的な支持を集められない状況である。
アメリカのような民主国家といえども政治が国民から離れてしまっては
改革はおぼつかない。
こうした傾向は他の国でも見られるが、
特にアメリカの政治の停滞は国際社会の影響が大きいだけに、
国内だけでなく海外からも厳しい目が注がれている。