1月18日付 読売新聞編集手帳
例えば〈いや(18)でござ(53)んすペリーさん〉(黒船来航)。
あるいは〈非難(17)爆発(89)バスチーユ〉(フランス革命)。
朝夕の通勤電車で、
むかし覚えた語呂合わせがフッと浮かんでくるのはこの季節である。
受験生だろう。
混み合う車内で、
身を縮めるようにして参考書を読みふける人がいる。
単語帳をめくっている人がいる。
過去に心ひかれる年齢ながら、
受験生に戻るのだけはちょっとシンドイな…と、
そのたびに思う。
深夜の睡魔と格闘し、
心躍る夏も問題集とにらめっこ、
胸のお守りに苦しい時だけの神頼みもして、
試験の朝を迎える。
いざ出陣――をしてみればこの有り様では、
受験生は泣くに泣けまい。
「地理歴史」「公民」の問題冊子で配布ミスなどが続出し、
大学入試センター試験が大混乱した。
「地理歴史」の試験時間に、
会場によっては48分もの差が生じたという。
いくら何でも不公平の度が過ぎよう。
受験生にしてみれば、
「いやでござんす」どころか「非難爆発」の心境に違いない。
ひとさまの人生に、
いわば素手で触れる仕事である。
自覚と猛省があっていい。