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デフレの瀬戸際 混迷する欧州経済

2015-02-05 08:00:00 | 報道/ニュース

1月27日 キャッチ!


(フランクフルト 22日 欧州中央銀行 ドラギ総裁)
「各国の国債を含む幅広い資産を月600ユーロ(約8兆円)で買い入れる。」
ヨーロッパ中央銀行は各国の国債を買い入れる量的緩和導入に踏み切った。
来年9月までに日本円で約150兆円の資金を市場に供給。
ユーロ圏がデフレに陥るのを防ぐため最後のカードを切った形である。
ドラギ総裁は
量的緩和がユーロ圏の需要を拡大させ物価を押し上げる
と効果に自信を示した。
一方 世界各国から2500人にのぼる政治と経済界のリーダーが集まって24日まで開かれたダボス会議。
ヨーロッパ中央銀行の量的緩和がどこまで効果を上げるのか高い関心を集めた。
出席した各国のリーダーたちからは歓迎の声があがった。
(フランス オランド大統領)
「ヨーロッパは将来を見据えた重要な決断をした。
 量的緩和によって企業に資金が回るようになる。」
(日本銀行 黒田東彦総裁)
「思い切った量的緩和を決定したのは非常に適切だったのではないか。
 世界経済あるいは日本経済に対する影響は基本的にポジティブだと思う。」

量的緩和を歓迎する背景には瀬戸際にあるユーロ圏の経済状況がある。
スペインのマドリード。
靴屋ではショーウィンドウにはあらゆる商品に根下げ札がつけられている。
デフレを象徴する値下げ競争。
政府の財政緊縮策の影響で消費が冷え込みこの店では値下げを繰り返している。
まさにデフレのスパイラルに陥っている。
(店主 コンチャ・アロンソさん)
「競争が激しいので値下げしないと売れません。
 このまま続けば生き残ることも難しくなります。」
生花店でも値下げをすることで何とか客を呼び込んでいる。
店を開いて20年余。
最も厳しい経営状況だと言う。
(店主 マメン・サンチェスさん)
「店を始めたのは1992年ごろで当時も経済危機でしたが今ほど厳しくはなかったです。」
スペインの失業率は23%を超え高止まりしている。
とりわけ若者は半数が仕事に就けない深刻な状況となっている。
消費者の間で買い控えが広がるなか12月の消費者物価指数は-1,1%にまで落ち込んだ。
さらにユーロ圏をけん引してきたドイツ経済も減速が鮮明になっている。
原油価格の値下がりを受けてロシア経済が失速。
通貨ルーブルの急落がドイツの輸出企業を直撃しているためである。
産業用ファンを製造する大手メーカー。
ロシア経済の成長を見込んで去年10億円をかけて工場を新設した。
専門のチームも立ち上げロシア関連の売り上げは全体の12%にまで伸びていた。
しかしルーブル安とロシア経済悪化の影響で今年のロシア関連の売り上げは半減する見込みである。
(製造会社CEO ピーター・フェンクルさん)
「ルーブル安が急速に進行したため大きな損害を受けました。
 ロシア国内では投資が落ち込み需要も減少しています。」
デフレへの懸念に加えてドイツ経済の減速。
信用不安から持ち直しつつあったユーロ圏経済は再び大きな試練を迎えている。

ギリシャ議会選挙根結果は
ユーロ危機がギリシャの財政問題をきっかけに始まっただけに悪夢の再来かと各国は神経をとがらせている。
EUとりわけドイツとしてはギリシャの緊縮策を緩和すれば南ヨーロッパの他の国でも財政規律が緩む恐れがあり
信用不安の再燃が懸念される。
その一方でドイツが譲歩しなければユーロ離脱が現実のものになりかねない。
今年 議会選挙が行われるスペインでも反緊縮を掲げる政党が急速に支持を拡大し
イタリアやポルトガルでも同様の動きが出てきている。
ギリシャがきっかけで南北分裂が深刻化し南ヨーロッパでユーロ離脱の動きが広がるのではないか
といった懸念も出始めている。
ドイツそしてEUにとってはいずれもいばらの道が待ち構えている形で金融市場の波乱要因になる恐れがある。
ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁は量的緩和を決めた理事会の会見の中で印象的は発言をしていた。
(欧州中央銀行 ドラギ総裁)
「ユーロ圏各国は成長を支援する財政政策を可能な限り実施すべきだ。」
この発言には
我々は責務を果たしたのだから次は各国政府がデフレを防ぐために行動する番だ
というドラギ総裁の強い意志が込められている。
しかしダボス会議で講演したドイツのメルケル首相は
量的緩和によってユーロ圏各国の構造改革や財政再建が遅れることに懸念を示したように温度差があるのも事実である。
デフレ ロシア失速によるドイツの減速 そしてギリシャを巡る不透明感
ユーロ圏経済を取り巻く環境が厳しさを増すなかこれまでと異なるアプローチが必要になる。
今回デフレを阻止するため欧州中央銀行が動いた。
ユーロ圏の安定とユーロの信認の維持に向けて次はドイツが動くかどうかにかかっている。




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