日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

奮闘!タイの日本語パートナーズ

2015-02-06 08:00:00 | 報道/ニュース

1月28日 キャッチ! 


去年 東南アジアから日本を訪れた観光客数は過去最高を記録した。
現地で日本語を学ぼうとする機運も高まっている。
これを受けて東南アジアの日本語教育を支援するプロジェクトが日本政府主導で始まった。
名付けて日本語パートナーズ
2020年までに日本語教育のパートナーとして補助的な先生を東南アジア各国に3000人派遣する計画である。
タイではいま日本のアニメが大人気でその主題歌の専門番組もこの春からスタートするほど盛況である。

バンコクから来たに500キロ離れたプレー県。
「日本語パートナーズ」日野友香さん(35)。
授業で日本のアイドルグループAKB48の曲を生徒と一緒に踊る。
「とても楽しいです。
 日本人のように上手に歌いたい。」
日野さんは日本ではJ-POPやアニメの曲を歌う歌手として10年以上活動している。
日本のアニメが人気のタイで歌を通じ日本語の魅力を伝えたいと考えた。
(「日本語パートナーズ」日野友香さん)
「音楽は国境や言葉を超えてみんなで共有し合える最強のツール。
 それを使って私が出来ることがたくさんあるはず。」
一緒に教えるのはタイ人のスラサック先生(29)。
英語を教えながら2年前からは日本語の教師もしている。
まだ日本語は基本的な会話しかできないが子どもたちと同様J-POPの大ファンである。
(日本語教師 スラサック先生)
「AKBの歌が大好きでマンガはドラえもんや聖闘士星矢が好きです。
 日野さんが来て日本語の会話も上達しています。」
スラサック先生と二人三脚の授業。
日野さんがこだわっているのはただ日本語の発音を教えるだけでなく
歌詞の意味を十分に理解してもらうことである。
学習意欲の高い子どもたちには励まされると言う。
(「日本語パートナーズ」日野友香さん)
「リズムとメロディーがついてどんどん新しい言葉を覚えてくれるのでやりがいを感じます。
 歌詞に深味がある曲は日本人ではない学生には楽しみ方がまだ伝わらないかなと思って
 これから頑張っていこうと思う。」
パートナーズに応募できるのは日常英会話ができる20歳~69歳まで。
特別な経験や資格は必要ない。
バンコクの高校で教えているのが猿田多摩夫さんは最高齢の69歳。
猿田さんは自動車などの製造ラインを手掛ける会社に勤めマレーシアに9年駐在していた。
現地の様々な人たちとの出会いにずいぶん勇気づけられたと当時を振り返る。
人々の役に立ちたいを定年退職を機にパートナーズに応募した。
(「日本語パートナーズ」猿田多摩夫さん)
「海外の方に恩返しがしたいと広告を見てすぐこれだと。」
派遣先の学校で日本人は猿田さんただ1人。
タイ人のトン先生と組んで約90人の生徒に日本語を教えている。
漢字の書き順や読み方を指導していく猿田さん。
授業はトン先生のリードでどんどん進んでいく。
(「日本語パートナーズ」猿田多摩夫さん)
「トン先生のキャラクターでうまく私を引き出してくれた。
 少しずつ慣れていかないと。」
帰宅した猿田さんは必死に生徒たちの名前や特徴を覚えていた。
(「日本語パートナーズ」猿田多摩夫さん)
「その子の特徴をつかんでいくこと。
 名前をはっきりと呼んであげるとちゃんと答えが返ってくる。」
生徒との距離を縮めようと教室を出ることも。

休日を利用して生徒と一緒に過ごす猿田さん。
この日訪れたのは動物園。
生きた日本語を学んでもらおうと様々な場所に生徒と出かけ日本語の会話に挑戦するよう励ましている。
(「日本語パートナーズ」猿田多摩夫さん)
「課外活動は彼らにとって勇気を出してしゃべる。
 有意義だったと思う。」

政府の肝いりのプロジェクトとの背景には
第一に東南アジアでの日本語教育のニーズの高まりを受けて日本政府がこれに応えようとしていること。
第二に東南アジアで中国語教育が浸透していることがある。
中国政府は年間1000人規模の中国語教師をタイの中学・高校に派遣している。
猿田さんたちが派遣された学校でも第二外国語の主流は中国語で複数の中国人教師が派遣されており
教師たちは中国とタイとの友好関係のシンボルだとして誇りを持って指導していた。
一方日本語はタイの高校での日本語学習者の数が約9万人とこの5年で20%も増えている。
しかし教師の数は600人余と不足しており
このうち3割はわずか10か月の日本語育成研修を受けたタイ人教師で
他の教科と掛け持ちで指導しているのが実態である。
日本語のレベルは必ずしも高いとは言えない。
(国際交流基金バンコク日本文化センター 福田和弘所長)
「中国語のネイティブの先生はいるけど日本語の先生はいないという声をよく聞く。
 タイ人の日本語の先生が一人で頑張っている状態の学校がたくさんある。」
今回派遣されている29人は日野さんや猿田さんのような個性豊かな人たち。
日本語の歌や「よさこい」の踊りを教える大学生など
それぞれの特性を生かしてタイ人教師と協力して授業を展開していて派遣先の学校からの評判も上々だと言う。
身近に日本人がいて単に日本語を教えるというのとは一味違ったアプローチで
日本文化とともに日本語を教えてくれるほか
現地の教師の日本語レベルの向上にもつながっている。



コメント