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女性のサッカー観戦 解禁に揺れるイラン

2019-11-15 07:18:18 | 報道/ニュース

10月24日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース


厳格なイスラム国家のイランでは
スタジアムでの女性のサッカー観戦が禁止されてきた。
それが10月
イスラム革命以来初めて認められ
女性サポーターがスタジアムで選手に声援を送った。
その一方で依然として女性の観戦には制約が多い。

10月10日 イランの首都テヘランで開かれたサッカーW杯アジア2次予選。
観戦を認められた女性がスタジアムに詰めかけた。
(観客)
「言葉ではとても表現できないぐらいうれしい気持ちでいっぱいです。」
「ずっとスタジアムに来たかったので
 とても興奮しています。」
この日の試合を観戦した女性は約4,000人。
これだけの規模で女性の観戦が許されたのは
40年前に厳格なイスラム体制が樹立されて以来初めてのことである。
これまで
試合に興奮する男性から女性の安全を守ると言った名目で女性の観戦を禁止してきたが
今回 特別な対応がとられた。
女性専用の観客席が設けられた。
男性と距離をとるために女性の席の周囲に張り巡らされたフェンス。
さらに女性の数はスタジアムの収容人数のわずか5%に制限された。
そのため待望のチケットを入手するのは至難の業だったという。
イラン政府は事前に女性の観戦容認を表明していたものの
“何時から何席売り出すか”は明らかにしていなかった。
そして試合6日前の午前1時ごろ
突然インターネット上で販売がスタート。
深夜にもかかわらず一部の熱烈なファンたちがサイトに殺到し
数時間で完売した。
主婦のシミンさんがチケット購入の舞台裏を語った。
(シミンさん)
「購入は大変でした。
 発売開始の時 寝てしまっていたんですが
 友だちが買っておいてくれたんです。」
それでも友人の多くが購入できず
女性の人数制限があること自体に強い憤りを覚えている。
(シミンさん)
「チケット販売の女性への制限がなくなって
 もっと多くの女性が観戦できるようになってほしいです。」
今回 政府が重い腰を上げざるを得なかった背景にはひとつの悲劇があった。
9月 男性に変装してサッカースタジアムへの入場を試みて一時拘束された20代の女性が
懲役刑になると聞かされた直後
自らガソリンをかぶり焼身自殺を図ったのである。
女性は病院へ運ばれたが1週間後に死亡した。
現場近くで働く男性は自ら火をつけた女性の様子を目撃したという。
(目撃者の男性)
「女の子から煙が上がり
 周りの人たちが水をかけていました。
 涙がこぼれました。」
事件をきっかけに
国際社会からイランに対する批判が殺到。
地元メディアは
“女性の観戦を認めなければW杯の出場資格を停止する可能性があると
FIFA(国際サッカー連盟)から通告があった”と伝えている。
(FIFA インファンティーノ会長)
「イランの女性が男性の試合も観戦できるようにしなければならない。
 我々はこれを強く要求する必要がある。
 もはや待つことはできない。」
こうした国際社会からの圧力の高まりを受け
イラン政府は今回の女性ファンの観戦を認めたのである。
今後 政府は
大規模なスタジアムで女性専用の入り口や観戦エリアを設ける方針だが
あくまでも国際試合に限られ
国内チーム同士の試合に拡大されるめどはたっていない。
「恥を知れ!
 恥を知れ!」
背景には国内にいる保守的な考えを持つ人々の存在がある。
政府が女性の観戦を認めたことに喜ぶ人がいる一方で
この判断を批判する人たちがデモを行った。
中には“イスラム教の価値観に反する判断だ”と訴える人もいた。
(デモ参加者)
「シーア派のひとりとして女性の観戦を快く思いません。
 ムスリム女性の尊厳が保てなくなります。」
女性たちのサッカー観戦は広がるのか。
今後も険しい道のりが続く。





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