10月24日 NHKBS1「国際報道2019」
南アフリカのヨハネスブルグ。
鮮やかな紫色の花「ジャカランダ」。
南アフリカではジャカランダの開花が春の訪れを告げる。
南半球ではいわば“ジャカランダ前線”は北から南へと進む。
ヨハネスブルグでは10月に入ってから本格的に咲き始めた。
気温が暖かくなるにつれ街がどんどん紫色に染まっていく。
花が街中に咲いていることや
花の期間が日本の桜と違って1か月以上続くため
日本のお花見のようなことはない。
それでも結婚式を花の下であげたいと
あえてこの季節に日取りを決める人がいるという。
人々にこよなく愛されているジャカランダだが
ちょっとした論争もある。
10月にヨハネスブルグで開かれた市民マラソンの大会。
ジャカランダの花を見ながらのレースを2,500人が楽しんだ。
(参加者)
「10月にマラソンをすればジャカランダの下で走れるよ。」
「ステキな木の下で
最高のレースでした。」
「紫の花がきれいだったよね。」
南アフリカの春を象徴する花として愛されるジャカランダ。
首都プレトリアには5万本
ヨハネスブルグには7万本が植えられていると言われている。
ところがある問題も持ち上がっている。
ジャカランダは実は外来種である。
130年ほど前に最初にプレトリアに植えられたジャカランダは
ブラジルから持ち込まれたものである。
小学校の校庭に建つジャカランダの大木。
プレートには“1880年にブラジルから持ち込まれた”と記されている。
その花の美しさからジャカランダは各地で植えられた。
しかし専門家は
この木が南アフリカの生態系に影響を及ぼしていると指摘する。
(外来種に詳しい ラフラオ博士)
「ジャカランダがどのような影響を与えるか
科学的根拠を知ってもらいたいのです。
ジャカランダが在来種と競合するため
本来あるべき地元の植物が生えていません。」
問題はこれだけではない。
ジャカランダの木は周りの水を大量に吸うため
地下水にも影響を与えていると指摘されている。
こうしたことから
政府は5年前
ジャカランダの除去を進めることを決めた。
環境省が開いたシンポジウムでも
南アフリカの生物多様性を守るため
ジャカランダを管理していく必要性が訴えられた。
(南アフリカ クリーシー環境相)
「南アフリカは乾燥した国だが
気候変動の影響でますます乾いています。
周囲の水を吸い上げる外来種について懸念しています。」