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ロシア流アフリカ戦略 「最後の巨大市場」で何が

2019-11-17 07:00:00 | 報道/ニュース


10月24日 NHKBS1「国際報道2019」


“最後の巨大市場”として注目されるアフリカで
ロシアが存在感を高めている。
アフリカにはTICAD(アフリカ開発会議)を主催する日本をはじめ
中国も貿易や投資の拡大に力を入れているが
その進出競争に今ロシアも名乗りを上げている。
ロシアで10月23日に開幕したロシア・アフリカ経済フォーラム。
ロシアで初めてアフリカ54か国の代表を一堂に集めた国際会議である。
ロシア大統領府によると
アフリカ54か国のうち43か国が大統領や首相が出席しているほか
残りの11か国も副大統領や外相級を派遣したということである。
同行している関係者を含めると参加者の数は1万人以上にのぼり
初開催としては上々の成果と言える。
プーチン大統領は初めのスピーチでアフリカ進出に向けた意気込みを示した。
(ロシア プーチン大統領)
「アフリカにはロシアの潜在的なパートナーが多くいる。
 今後4~5年で最低でも貿易量を2倍にできると信じている。」
アフリカ進出はすでに日本や中国が力を入れていてロシアは出遅れた感が否めないが
カギを握るのは
旧ソビエト時代からの伝統ともいえるアフリカ諸国との強い結びつきである。
28年前のソビエト崩壊とともにその関係はいったんは弱まったが
ロシアは今
インフラ整備と資源開発というソビエト時代から培ってきた技術とノウハウを武器に
再びアフリカに回帰している。

ロシア最大の鉄道車両メーカーの工場。
去年 年間生産量を上回る1,300両の超大口契約が舞い込んだ。
輸出先はエジプト。
発注したのはエジプトの国営鉄道会社である。
(鉄道車両メーカー 設計担当者)
「エジプトから多くの要求がありましたが
 満足してもらえる車両ができました。」
創業120年になるこの工場も
アフリカ進出を目指すプーチン大統領の政策の一翼を担っている。
ロシアとエジプトの強い結びつきは約60年前にさかのぼる。
ソビエトの経済支援で建設された「アスワン・ハイダム」。
エジプト近代化の象徴ともいえるインフラ事業への関与が
今も両国の関係に受け継がれている。
(鉄道車両メーカー トランスマシュ社 社長)
「エジプトは旧ソビエト時代からのパートナーです。
 当時はエジプトで積極的に産業政策を進め
 金属加工場や水力発電所を建設しました。
 エジプトの人はこうした過去に尊敬の念を抱いてくれています。」
さらにロシアは天然資源の開発に力を入れている。
アフリカ有数の産油国アルジェリア。
1962年 フランスから独立した後
一時は社会主義政権が国を率い
ソビエトの強い影響下にあった。
アルジェリア進出の足掛かりとなったのが石油と天然ガスの開発技術である。
ロシアの政府系ガス会社はシベリアで培った探鉱技術をアルジェリアの砂漠に応用。
4つの石油・ガス田を掘り当てるなど大きな成果を上げた。
ロシア企業は大西洋に面したアンゴラの奥地でも活発に活動している。
お目当ての資源はダイヤモンド。
ロシアの政府系企業が鉱山開発に着手。
4年前には埋蔵量3億カラット(3兆円規模)の巨大なやダイヤモンド鉱山を開いた。
現地で働く社員のためにプールや娯楽施設を完備し
長期的な事業戦略を進めている。
(天然資源開発会社 現地駐在員)
「環境は整っています。
 町から遠いので外出は気軽にできないけれど・・・。」
旧ソビエトが残した遺産はいま大きな富をもたらそうとしている。
(天然資源開発会社 アルロサ社 副社長)
「旧ソビエト時代は
 国も企業もリスクを承知で独立したばかりの若い国の支援に力を注いできました。
 そのアフリカが今や
 新たな鉱脈の発見が期待できる最後のフロンティアです。」

ロシアにはもうひとつ強力な切り札がある。
それが“軍事協力”である。
アフリカで中国と同じ土俵で戦っても勝てない
経済力ではかなわないということはロシアも熟知している。
軍事大国の強みを生かして
“武器”という商品
“軍事訓練”というサービスを売り込もうとしているのである。
混乱が続く中央アフリカ共和国ではロシア人が務めている。
ロシアテレビが伝えた軍事協力の実態は。
(ロシアTV)
ここはかつて独裁者の宮殿でした。
今は中央アフリカ共和国の国防省の訓練キャンプ場となっています。
これはテロリストに占拠された村を奪還する訓練です。
火薬が仕掛けられ
訓練生たちは爆発や砲撃に慣れていきます。
Q.こんなに離れた場所で何を?
(教官)
「兵士たちの訓練ですよ。
 ロシアの国益を追求する重要な仕事です。」
ロシアは何を求めアフリカのジャングルにやってくるのでしょう。
(中央アフリカ共和国 ザハロフ軍事顧問)
「ロシアはこの国を助けるために来たのだ。
 平和を取り戻すためだ。
 長い内戦が続き
 国際社会に何度も助けを求めたが
 ロシアのおかげで平穏を取り戻せた。」
軍事をてこにその国に接近する手法は旧ソビエトの軍事顧問団とよく似ている。
ロシアの専門家は
“アフリカでは今後 軍事的な需要がさらに高まる”と自信を深めている

(ロシア科学アカデミー アフリカ担当)
「ロシアは兵器の供給だけでなく
 アフリカの紛争を収拾し
 安全保障問題を解決する能力がある。
 その範囲は軍人や警察官の訓練から情報セキュリティ分野まで実に幅広いものだ。」
そうした一方で早くもロシアのこうした動きに懸念の声が上がっている。
アフリカでロシアと軍事協定を結んだ国の数は
4年前まで10か国ほどだったが
今では30か国以上に増えた。
この中には政治が不安定な国もあり
独裁政権がロシアから過剰な武力を手に入れ
国民や周辺国に振りかざすことがないか懸念されている。
アフリカではアメリカの関与が限定的なため
ロシアや中国の影響力を阻止する国が見当たらないのも懸念材料である。
最後の巨大市場をめぐる熾烈な覇権争いは
ロシアが軍事協力を足掛かりに
先行する中国を追いかける形になっている。



 

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