日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

“アートで世界を変える” 長坂真護さん

2021-01-11 07:00:00 | 報道/ニュース

2020年12月9日 NHKBS1「国際報道2020」


世界で活躍するアーティスト 長坂真護さん(36)。
アフリカのガーナの子どもをモチーフにした作品では
パソコンのキーボードやビデオテープなどが使われている。
これらはすべてガーナで集めた廃棄物である。
1点30万円のものから
オークションで1,500万円で落札された作品もある。
なぜ遠く離れたガーナの廃わって作品を作り続けるのか。

アーティストの長坂真護さん。
都内にあるアトリエ。
(アーティス 長坂真護さん)
「実際に捨てられています。
 日本からの廃棄物は本当にたくさんあります。
 もしかしたら自分が握ったものかもしれないという可能性もある。」
20代のとき独学でアートを始めた長坂さん。
しかし当時“人生に絶望しか感じられなかった”という。
(長坂真護さん)
「お金も稼げない
 税金も払えない
 保険料も払えない
 母親からは就職しろと。
 自分の人生って低迷した状態がずっと繰り返されると決めつけていた。
 本当に自信がなかったですね。
 生きがいがなかった。」
3年前の33歳のとき転機が訪れる。
雑誌で目にした1枚の写真。
スラムで暮らす子どもの姿だった。
(長坂真護さん)
「スラムでたくましく生きる子どもの写真だったんですけれど
 その写真見ただけで行かなきゃいけないと思って。」
たどり着いたのがアフリカのガーナだった。
長坂さんを追ったドキュメンタリー映画の映像ー。
(Still A Black Star)
覆い尽くすゴミ。
先進国で使われなくなった家電製品などが中古品としてこの国にたどりつき
リサイクルされずに捨てられていた。
(長坂真護さん)
「目的地に進めば進むほどスモークがどんどん濃くなって。」
廃棄物を燃やし取り出した金属を売って生計を立てる住民たち。
燃やした際に出る有毒ガスで若くしてがんで亡くなる人も相次ぐ現実を目の当たりにした。
(長坂真護さん)
「俺たちは死にたくないと言われて
 ガスマスクを持ってきてと言われた。」
厳しい現実を前に
自分に一体何ができるのか。
長坂さんはあらためてアートと向き合う。
(長坂真護さん)
「選択肢は僕の中には2つあった。
 世の中にはこういう世界もあるんだとフタをする。
 もう1つは
 アートで自分の持っている技術で少しずつ変える挑戦をしてみる。
 2択だったんです。」
先進国の暮らしがアフリカの人々の命を脅かす現実を伝えたいと
作品を作り始めた長坂さん。
しかし厳しい意見もあったという。
(長赤真護さん)
「言われましたよ 僕の友だちに
 『君の1枚の絵を売って何かが変わるの?』って。
 これは友人は愛情をもって僕に言ってくれたんです。
 『それが現実だよね いいことやっているのは分かるけど』
 でも めげなくて。」
(Still A black Star)
自分にできることをしようと
作品を売ったお金の約9割を現地の支援活動にもあてるようにもなった。
「ガスマスク持ってきたよ。」
これまでにガスマスク800個を届け
現地に子どもが無料で通える学校を建設した。
こうした取り組みを応援しようという人の輪も広がっている。
ベンチャー企業の経営者 北村さん。
1、500万円で作品を購入。
アートを通じた支援にビジネスとは違う可能性を感じたという。
(ベンチャー企業経営者 北村さん)
「絵の価値だけでなく
 絵を通じて
 人の動きを変える
 行動を変えるというのが彼の絵の本質。
 アートを使って課題解決をしているというのが彼の特徴というか魅力。」
長坂さんの活動は世界からも注目されている。
エミー賞受賞などハリウッドで活躍し
長坂さんのドキュメンタリーを制作した映画監督 カーン・コンウィザーさん。
監督を撮影に駆り立てたのは長坂さんの本気度だった。
ドキュメンタリーでは
長坂さんが世界の人たちに目を向けてもらおうと
住民を巻き込み廃棄物でモニュメントをつくる様子や
活動が現地の子どもたちの生きる希望にもなっている様子が盛り込まれている。
(Still A Black Star)
「長坂さんから学んでいる。
 機会があれば画材を買って絵で稼ぎたい。」
(映画監督 カーン・コンウィザーさん)
「世界中の人に映画を通じて伝えたいことは
 1人の芸術家が1本の筆で成し遂げられることの大きさです。
 それは彼だけができることなのではなく
 本来 私たちの誰もができることなのです。」
ガーナの現実を知ってから3年。
思いはますます強くなっている。
(アーティスト 長坂真護さん)
「僕は“アート”“経済”に“環境”や“社会貢献”をつけてサスティナブルで循環型にしたいんです。
 僕がやっているのは問題提起ではなく
 問題解決型のアートでありアーティスト。
 彼らがいたからこそ絵を描く力をいただいたものだから
 この幸せ
 この生きがいは絶対に彼らに返さなきゃいけない。」


コメント