2021年1月4日 NHK「おはよう日本」
受賞者は日本
世界各地から寄せられる水にまつわる環境保護の研究で
ストックホルム水大賞はその中の優れた研究に贈られる。
20歳以下の高校生などの部門で
大賞は
名久井農業高校のチームである。
チームの研究は
アフリカなどの広い範囲でトウモロコシなどの栽培に使われる方法の改善につながるものだった。
“ザイ”と呼ばれ
乾燥した地域に導入されているこの栽培方法。
雨の多い雨季
地面に掘った穴に雨水をため作物を植えて育てる。
チームのメンバー 宮木さん。
授業で知ったこの栽培方法について興味を持った宮木さん。
水の流出を食い止めることで改善できないかと考えていたとき
固い土でできた祖母の家の土間のことを思い出したという。
(名久井農業高校3年 宮木さん)
「床が土でできているということを聞いて
“たたき”という技術を使って作っていると知って
使えると思って参考にした。」
江戸時代には“たたき”の技術で作った土がセメント代わりなどとして使われていた。
相撲の土俵も“たたき”で作られている。
土を固めるこの技術。
水と石灰を土に混ぜたたいて固める。
こうすると土は水を通しにくくなる。
宮木さんはこれを使えば“ザイ”の課題を解決できるのではないかと考えたのである。
“たたき”を研究してその成果を世界中の人たちに知ってもらいたい。
宮木さんはストックホルム水大賞を目指してチームメイトたちと実験を始める。
ザイで掘られた穴から水の流出を防ぐためには
“たたき”でどれくらいの土を作ればいいのか。
何度も確かめていく。
実験を重ねるなかで
“たたき”で作った土に肥料を混ぜることになった。
水に溶けだした養分で作物の成長を促していこうという狙いである。
そして臨んだ大賞の審査。
water collection technology using Ta-Ta-ki.
If you place water catchment wings made of Tataki ー
貯めることができた水の量は従来の方法の3倍。
土に肥料を混ぜるとトウモロコシの収穫量は4倍にもなった。
伝統的な技術を農業に応用し
その効果を科学的に証明したことは高く評価された。
宮木さんたちは日本の高校としては16年ぶりに大賞を獲得したのである。
and solve the water and food problems around the world.
快挙を成し遂げた宮木さんたち。
“たたき”の技術を広めるため
技法について英語でまとめたマニュアルを作り海外の農家に配り始めている。
(名久井農業高校3年 宮木さん)
「“たたき”は材料が揃えば
混ぜてたたいて
あとは乾燥させるだけの簡単な作業なので
世界の環境問題の解決に貢献できると考えている。」