銅版画制作の日々

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VOLVER☆帰郷 アルモドバル監督の女性讃歌3部作のラスト作品!

2007-08-07 | 映画:シネコン


巨匠 ペドロ・アルモドバル監督の原点にしての最高傑作

 

7月17日、東宝二条シネマにて鑑賞。ペネロペ・クルス主演の《ボルベール》、そういえば、ペドロ・アルモドバル監督の「トーク・トゥ・ハー」は鑑賞した。眠り続ける女性2人のお話だったなあ。アカデミー賞脚本賞を受賞している。

 

そして「オール・アバウト・マイ・マザー」では、アカデミー賞最優秀外国映画賞を受賞にくという素晴らしさだ。そんなペドロ・アルモドバルが待望の最新作が「ボルベール」、この作品とともに、驚くべき「告白」を発表した芸術家として、一人の人間として、「自分自身や愛する者たちの死だけでなく、すべての死を受け入れることが出来ず、近年大きな痛みと不安で生きることが辛かった」というのだ。

 

そんな彼に再び生きる力を甦らせたのは、自らの創造力の源への《帰郷》。故郷ラ・マンチャを舞台に、何があっても尽きる事のない母の愛に見守られて、って生き抜く女たちを描いたのだアルモドバルの人生を救った記念すべき映画「ボルベール《帰郷》」が誕生

 

観る者にも人生を愛する力を惜しみなく分け与えてくれるこの作品は世界各国で、過去のアルモドバル作品の記録を大幅に塗り替え、カンヌ国際映画祭最優秀脚本賞を皮切りに、名誉ある賞を次々と受賞、今までの作品とはひと味違う、深みもある、感動的な映画として絶賛されている(パンフレットより抜粋

 

お話は・・・・・失業中の夫の分まで働き思春期のひとり娘パウラ(ヨアンナ・コバ)の母親の役目を果たしながら・・・・も明るくたくましく生きるライムンダ(ペネロペ・クルス)。欠点といえば、すぐにカッとなる気性の激しさだが・・・・。

そんなライムンダにある日2つのが降りかかる

①夫の死・・・・・娘パウラに「本当の父親じゃないから」と関係を迫るいやらしい親父だ力づくで迫る父親をで刺し殺してし・ま・う・・・・・・。そんなパウラを守るためにしてはいられない何と空家なっているレストランの冷蔵庫に死体をひとまず隠すライムンダ。

 

②伯母の死・・・・・夫の死と同じ日のライムンダの両親が火事で死んだショックで病気がちになっていた最愛の伯母も息をひきとった。

 

殺人と病死という2つの死・・・・・どうなるのひとつは殺人事件だ。正当防衛とはいえ・・・・・。事件の展開がどうなるのかと思いきゃ、話は事件から離れて、全然違う方向へ

 

姉のソーレ(ロラ・ドゥエニャス)と隣人アグスティナ(ブランカ・ポルティージョ)に伯母の葬儀を任せ、レストランに運んだ、例の“冷凍品”をどうするか?頭を悩ませていたそんなライムンダはレストランの店員と間違えられる。近くで映画の撮影しているスタッフが食事の提供を依頼。ラッキーな話にすぐさまOK

レストランは、何とそのまま彼女の生活の場に変身冷蔵庫に大きな秘密を残したまま・・・・・。

 

姉・ソーレは故郷ラ・マンチャでの伯母の葬儀の際、近所の人たちの奇妙な噂を耳にする火事で死んだはずの母の姿を見かけたというのだ。動揺するソーレに隣人のアグスティナは「ラ・マンチャでは、幽霊が現れることはよくあること」だと語る。葬儀を終えて、に辿り着いた。そしてには大きなが入っていたことにソーレは気づく何と母なのだ少しやつれているが母(カルメン・マウラ)に間違いなかった。幽霊なのか?本物の母なのか?と突然の再会に戸惑うソーレ。そしてその“母”と暮らし始めることに・・・・。

 

   

ソーレはライムンダに伝えることができないままでいた。ある日、ライムンダがソーレのを訪ねる。そこで、懐かしい母の匂いを感じることに・・・・。ベッドの下に隠れた母がおならをしたのだライムンダに会いたい母だが、自分を拒むようになった娘に再会する勇気はなかった

 

ライムンダの美しさに惹かれた映画スタッフは、全撮影期間中ランチを頼む。最終日には打ち上げパーティを開催することに。かってオーディションを受けたほど、が得意だったライムンダは、クルーに感謝を込めて歌声を披露。母に教えられたタンゴの名曲「VOLVER(帰郷)」の歌詞が、ライムンダの心の奥に眠る母への思慕を掘り起こす。大きな瞳を潤ませながら歌い上げるライムンダ。店の前に停められたソーレのに隠れて、母もまた娘への愛しさにした。これ以上身を隠すのは無理だと・・・・。再会の時がいよいよやって来た

 

ライムンダの歌、最高

ライムンダの隠された秘密、そしてもっと衝撃的な母の秘密も明かされる瞬間

 

実はラスト近くで状態となり・・・・。ライムンダの娘パウラの本当の父親が誰なのか?が分からなかったり、母が何故?生きていた事実など、もろもろが解明できず、ちょっと不消化状態で観終わったので、パンフレットを購入。

 

娘に関係を迫った夫には最初は怒りに燃えるけれど、次第に感情は抑えられてしまい、生前彼の好きだった場所へ葬るというライムンダの気持ちの変化の奥には、彼女の秘密があった。

 

同じくして母イレネも、娘ライムンダと似たような行動を・・・・。ラストでは一家4人(ライムンダ、イレネ、ソーレ、パウラ)が故郷ラ・マンチャの伯母のへそして隣人アグスティナも加わり、思いがけない情況が明かされるわけだ。複雑に絡んだそれぞれの女性の気持ちが交差され・・・・物語は終わる事に。

数奇な運命が女たちの人生を帰郷によってクリアにされるのかどうかは分からないけど・・・・・。まさかの展開には驚きあり、でもすべては繋がっているところが面白い

 

姉・ソーレ・・・・・ロラ・ドゥエニャス

 

ライムンダの娘・パウラ・・・・・ヨアンナ・コバ 本当の父親は、実は!!!

 

ライムンダの母・イレネ・・・・。カルメン・マウラ

 

隣人アグスティナ・・・・・ブランカ・ポルティージョ 実は彼女はイレネと深い関わりが!

 

 ボルベール《帰郷》 公式サイト

 

※ペネロペ・クルス、本当に美しい今までに演じた事のない、強いスペイン女を見事に演じていた。素晴らしい演技だった。ブラボー

 

タンゴの名曲 「VOLVER (帰郷)」

「感じる・・・・・
人生は風のひと吹きだと
20年は《無》だと・・・・・
熱に浮かされたあのまなざし
影のなかをさまよいながら
わたしの姿をさがしもとめ
あなたの名前を思いださせつづける」


《VOLVER》より 高場将美訳

 

 おまけ・・・・・ talk to her 「トーク・トゥ・ハー」の公式サイト

 

 

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