お菓子はやさしさを運んでくる。
評価:→(60点)
京都シネマにて鑑賞。
西村滋原作の自伝的ロングセラー小説を、『ふみ子の海』の近藤明男監督が映画化した作品。
お客さんはかなり年齢度アップ、しかも圧倒的に女性が多かったです。う~ん何というか、ベタな作品で・・・・。
主人公アキオを演じる吉井一肇君は言葉使い一つをとっても綺麗で、優等生タイプな男の子です。そんな彼とはちょっとイメージの違う役柄のような気もしますが。
しっかり、はっきり、一語一語正確にセリフを言うところも凄いし、大変しっかりとした子供さんだなと感心しました。
「お菓子と娘」♪という歌を唄うんですが、これまた上手いとても澄んだ声で優しさを感じます。
さてお話・・・。
孤児院を脱走したアキオが金平糖を盗み、逮捕されます。空腹のアキオに、担当刑事の遠山(遠藤憲一)が菓子パンをくれるんですね。
この味にアキオは夢ごこちになります。
その後若松千吉(太賀)、松尾春彦(根岸泰樹)と共に感化院に入れられたアキオは、指導員・伊集院鉄太郎(松村良太)から暴力的な軍事教育を受ける事に。
感化院での生活の場面ですが、思ったほど、辛い雰囲気は感じませんね。かなり省略されているような気もします。もう少しハードさがある方がリアルだと思いました。
希望のない日々を救ってくれたのは、教員・陽子(早織)が歌う「お菓子と娘」だった。この出会いがアキオを勇気つける。しかしその幸せなひと時は続かなかった。陽子先生は母の具合が悪くなり、実家へ。
アキオにも転機が訪れる。 昭和18年。野田フサノ(いしだあゆみ)の養子に迎えられるアキオ。家族ができたと大喜びのアキオだったが。
いしだあゆみ演じるフサノばあさんが、まあ憎たらしこと(笑)
昔からスレンダーな彼女ですが、年を経て一層ギスギスしていて痛々しい感じ。その姿がこの時代を死に物狂いで生きて来たんだなあと思いました。この役はいしだあゆみさんにぴったりかもしれませんね。
やっと家族らしき人物に出会えたと思ったら、このフサノばあさん、只ものではありませんでした。実はフサノにとって、アキオは労働力でしかなかった。
早速次の日から、映画館で働かされることに。仕事先のトミ子さん(竹内都子)、徳さん(尾藤イサオ)が良い人だったからアキオ自身、楽しく仕事が出来たのがせめてもの救いかもしれない。
そんな中、アキオは陽子先生との文通をしながら、一生懸命働く。
アキオの宝物は陽子先生からもらったお菓子作りのレシピ本
歌に登場するエクレールも載っていた。
遠山夫妻宅に訪ね、甘いお菓子を頂いたり・・・。
しかしこの幸せもそんなに長くは続かなかった・・・・。フサノと男の話を立ち聞きしたアキオは、フサノが単にアキオを労働力の一つとしてしか見ていないことが分かる。
ショックと怒りのアキオは家を飛び出すことに。その後 放浪の身となったアキオは、旅回りの一座に加わる。旅回りの一座の人たちとの暖かいふれ合いで、このまま上手く行くかと思いきや、団員の自○等でまたまた、一座の皆と別れるという悲劇に。
出会いと別れを繰り返し、、、、。
東京大空襲でアキオは大事な人たちとまた悲しい別れに遭遇。持ち前のバイタリティで戦争孤児となった子供たちと闇の商売を始める。
とまあ波乱万丈な放浪記であるが、何処かそんなにハングリーさやドロドロさはそこまで感じられない。むしろ小奇麗にまとまったいるような気もする。
ラスト近く、のど自慢で歌うアキオの歌声はとても素敵なんですけどね。
えぇ~こんな展開なの?まあまったくなさそうな展開ではないけど、、、、。
どうもまとまりすぎみたいな気もするんですが。
解説(allcinemaより)
日本の戦中・戦後を舞台にした小説家・西村滋の自伝的作品『お菓子放浪記』を、「ふみ子の海」の近藤明男監督が映画化したヒューマン・ドラマ。孤児となった一人の少年が、甘いお菓子への憧れを心の糧に、過酷な時代をたくましく生き抜く姿を描く。主演は吉井一肇、共演に早織、いしだあゆみ。
メディア | 映画 |
上映時間 | 105分 |
製作国 | 日本 |
初公開年月 | 2011/05/21 |
ジャンル | ドラマ/戦争 |
映倫 | G |