ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

「真夏の夜のジャズ」のアニタ・オデイ

2005年07月13日 | ミュージシャン

            「真夏の夜のジャズ」(Jazz On A Summer's Day)という映画があります。直訳すると、「夏の日のジャズ」、か…。なんだかパーシー・フェイスみたいですね。



 この作品には、1958年7月にロードアイランド州で開催された「ニューポート・ジャズ・フェスティヴァル」の様子が収められています。7月3日から6日の4日間にわたってカメラを回し続け、撮影した約24時間ぶん・のべ13万フィートにのぼるフィルムは、バート・スターンとアラム・アヴァキァンの二人の監督の手によって82分に編集されました。
 完成したこの映画は、1959年のカンヌ国際映画祭で特別公開されています。


     
     『真夏の夜のジャズ(Jazz On A Summer's Day)』


 出演者がこれまた素晴らしく、サッチモことルイ・アームストロング(tp,vo)をはじめ、セロニアス・モンク(p)、ソニー・スティット(sax)、ジェリー・マリガン(sax)、チャック・ベリー(g,vo)、エリック・ドルフィー(sax)、マックス・ローチ(drs)、ジョージ・シアリング(p)などなどなど、見事に「巨星」が連なっています。もう、名前を見るだけで思わずタメ息が出てくる…


  その中のひとりにアニタ・オデイ(Anita O'Day)がいます。


     


 ぼくなど、アニタは白人女性ジャズ・シンガーとしては最高のひとりに数えられるのではないか、と思っていたりするのですが。


 ぼくがアニタの歌を聴いたのはこの映画が初めてでした。 「スウィート・ジョージア・ブラウン」と「二人でお茶を」の2曲が収められていますが、もうブッ飛びましたよ。
 まず「スウィート~」。アフリカン・リズムを思わせるドラムと歌とのデュオで始まります。エキゾチックな雰囲気を醸し出しておきながら、一転してミディアム・スローの粘っこいテンポに変え、実にブルージーに歌い込みます。もうこのへんで目は画面に釘付けです。


     


 「二人で~」は高速で突っ走るのですが、アニタはもう余裕しゃくしゃく。アップテンポの中を自在に泳ぎ回り、抜群のリズム感を披露してくれています。リストの「ハンガリー狂詩曲第2番」の有名な一節を織り交ぜながら、バックのピアノ・トリオをほんろうする様子がとてもホット!
 後半部分の、バックとの掛け合いがこれまた見事。まるでおてんば娘(死語に近いな…)のアニタが、ユーモラスかつスリリングにバンドを煽ること煽ること。仕草も可愛ければ、いたずらっぽい表情も魅力的。もう、おきゃんで陽気なアニタが本領を発揮しまくり、といったところです。


       


 これ見て、アニタにホレたぼくは、すぐにアニタのCD(ディス・イズ・アニタ)を買いに行きました。


 ジャズ・ヴォーカルも自己表現のひとつの手段なんだ、ということを、この映画でアニタに教わりました。



     




アニタ・オデイ 「Sweet Georgia Brown ~ Tea for Two」 Live ar Newport Jazz Festival  (1958)



コメント (8)
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