ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

「頑張っている」は言い訳に使う言葉ではない

2005年07月19日 | 価値観

                                       「ガンバレガンバレ、ゲ~ンサン♪」(古・・・)で一躍有名になった、間下このみさん



 同じ言葉、というか、単語を使って会話しているにもかかわらず、話がかみ合わないことってありませんか。


 最近ちょっとひっかかっているのが、「頑張っている」という言葉。


 「頑張る」のは、もちろん悪いことじゃないです。
 でも「頑張っている」ことを言い訳にされたくはない、という話です。
 ただし「頑張る」という言葉の定義ですが、人によってその「頑張っている」状態の基準は違うことを認識しておくことは大事だと思います。


 明らかにまだ力不足のあるミュージシャンがいるとします(まあ、自分も含めてなんですが)。
 現状、力が足りないのは、ぼくは問わない。
 ぼくだってそういう時期があったけれど(いや、今もそうですね)、先輩に辛抱して使って貰ったから今があるんだし。それに、現場に出ないと鍛えられない部分ってあると思っていますからね。
 そのぶん、まずは最低でも真摯な音を出そうという姿勢が見えればそれでいいんじゃないかな、そう思っています。


 しかし、その中には、音楽やジャズや他人については声高に語る反面、自分のこととなると、「私なりに頑張ってるんです!」と強くアピールすることで話が終わってしまう人が(かなり)いるように思うのです。
 それにはちょっと違和感を抱いているんですね。


 「私なりに」っていうのはとても便利な言葉で、全く練習をサボっていても「私なりには頑張った」と言うことができますからね。
 ぼくは、重度の腎臓障害を抱えていて、週に四度人工透析を受けているピアニストをよく知っています。その人の音楽に対する姿勢は、ぼくなど恥ずかしくなるようなものです。
 そういう姿を見ているだけに、練習不足からくるミスを反省することもなく、「自分なりに頑張っている!」と言い切れる人は、「頑張る」という言葉を言い訳に使っているんだろうな、と思ってしまうのです。


 本当に力のある人は謙虚だし、自分に対して貪欲です。
 素晴らしい音楽とはどんなものなのかをよく知っていますから、現状の自分の足りないところもきちんと把握できています。
 向上心のない人は、その時点で進歩が止まります。
 自分のことを頑張っていることにしようとする人って、まさに向上心のない状態なのかもしれません。


 お客さんは「頑張っているところ」を見に来られているのではなくて、「素晴らしい音楽」を聴きに来られています。
 だから「頑張る」というのは、音を出す以前の、自分の問題なんであって、自慢にも言い訳にも使う言葉ではないと思うんです。。


 言うなれば、「頑張っている」というのは、周りに言って頂くことであって、自分で言うことではない、ということではないでしょうか。



 今日はなんだか小難しい内容になっちゃいましたが、最後まで読んで下さった方には、せめて感謝のキスを贈らせて下さい(老若男女不問 笑)




コメント (2)
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