ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

荒井 由実

2005年07月20日 | ミュージシャン




 「松任谷」ではありません。あえて言い切ります。「荒井由実」です。
 同一人物だし、本質的には違いはないと思うんですけれど。


 はじめて触れた荒井由実の曲は「翳りゆく部屋」でした。
 オレンジ色の夕陽と濃い夕闇の、くっきりした陰影を思い浮かべることのできる曲でした。オルガンの音色がとても印象的でした。
 で、そっと脳裏に「荒井由実」の名をインプットしておいたわけです。


     


 といっても、「いい曲だなぁ」程度の認識だったので、そんなに積極的に彼女の作品を聴くわけでもなかったのです。
 邦楽ポップスといえば、洋楽の表面上だけを真似したものばかりだという先入観があったので、長期間聞き込まれることに耐えられない曲が非常に多いと思っていましたから。


 しかし、たまたまある日、「ユーミン・ブランド」というアルバムを友人の家で見つけ、タイトルからして荒井由実の代表作だろう、くらいの軽い気持ちで借りて帰りました。


     
     ユーミン・ブランド
            

 「おお、結構いい曲ばかりじゃないか!」
 しかも「やさしさに包まれたなら」、これ知ってる! そう、不二家のソフト・エクレアっていうキャンディのCMでかかっていたので聞き覚えがあったんですね。
 返す時、友人に思わず、「荒井由実の『ユーミン・ブランド』な、あれ、全部いい曲ばっかやな~」と口走ると、       

     「あれベストアルバムやで

       ・・・!( ̄ロ ̄;)!  なんやて・・・  


 たしかにね。
 ともあれ、以後「ユーミン・ブランド」は、ぼくの愛聴盤となったのでした。


     


 ユーミンの創り出す音楽に対する感想ですが、一番強く感じるのは、曲調が実にカラフルだということ。
 鮮やかな色合いで情景がはっきり浮かんでくる曲が多いです。色彩感あふれる、という意味では、荒井由実の書く曲は、ぼくの中ではスティーヴィー・ワンダーと双璧なのです。
 もちろん欧米のポップスをうまく取り込んでいるのでしょうけれど、ユーミン自身にもともとそういう感覚が備わっているんじゃないかという気がするんですね。
 どこか乾いたような感じのする個性的なボーカルや、当時の世相を反映したようなちょっとライトでちょっとお洒落な歌詞も魅力いっぱいです。
 彼女の持っているこういった強烈な感覚が幾多の名曲を生み出しているんでしょう。
 屋上に屋を架すようですが、エンターテイメントとしての彼女のステージの素晴らしさ凄さも、とくに書き足しておきたいです。


 この頃にレコーディング等を共にしたおもなミュージシャンは、
   ギター 鈴木茂
   ベース 細野晴臣
   ドラム 林立夫
   キーボード 松任谷正隆
 などです。いずれも日本のポピュラー音楽史に残る、錚々たる面々です。ロック・ポップス先進国の英米のミュージシャンに比べてなんら遜色ありません。
 細野晴臣氏の、ある意味日本人離れした感覚の素晴らしいベースも、荒井由実の曲ではじめて聴いたものでした。


 ちなみに、ぼくの「荒井由実ベスト Self Edit Version」には
     「ルージュの伝言」    「12月の雨」   「少しだけ片想い」
     「中央フリーウェイ」   「魔法の鏡」    「やさしさに包まれたなら」 
     「翳りゆく部屋」     「卒業写真」   「ベルベット イースター」
 などなどが入っています。


     


 「長期間聞き込まれることに耐えられない曲」どころか、初めて聴いてから40年は経っているのに、未だに新鮮な気持ちで聴いています。
 そして、聴くごとに「良さ」を実感しているのです。




コメント (10)
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