すこし前の話になりますが、リー・リトナーという、ジャズ、フュージョン界で活躍している世界的なギタリストが婚約した、というニュースを聞きました。
「ほおぉ~… リー・リトナーって、50歳くらいだっけ… でもハンサムだもんな~、相手には不自由せんやろな~」なんて俗っぽいことが頭をかすめたんですが、花嫁さんの名を聞いてビックリ!
ナンダッテ! 杏里だって!? ( ̄Д ̄)!
なんでもリトナーが、彼女の才能にホレ込んでたんだそうです。
杏里が、あのリトナーに認められていたという事実は、これは日本人としては嬉しいことです。ぼくは、もともと彼女の歌は好きでしたから、なおさらです。
杏里といえば都会的でファッショナブルなイメージがありますが、ぼくが好きなのは、不思議な透明感があって、女性の強さと弱さを同時に感じさせてくれるようなところなんです。
杏里が大ブレイクしたのは、アニメの主題歌でもあった「Cat's Eye」や、「悲しみがとまらない」などのヒットによってですが、ぼくはそれ以前のアコースティックな杏里も大好きです。
「コットン気分で」「思いきりアメリカン」「砂浜」、そして「オリビアを聴きながら」・・・。
杏里は高校2年生の時にデビューしました。デビュー曲が「オリビアを聴きながら」です。ソングライターとしても名高い尾崎亜美が、杏里のために書き下ろしました。亜美が「自分の歌にしたかった」ほどの、会心作だったそうです。
レコード売り上げは約5万5千枚、オリコン最高65位と、チャートでは目覚ましい数字をあげることはできませんでしたが、尾崎亜美の手ごたえどおり日本中の音楽ファンに長く愛され続けているロング・セラーとなりました。今に至るまで多くのシンガーにもカバーされています。
そして、この曲のジャケットの彼女。どこか幼くて不安げだけれど、まっすぐな視線が強さとみずみずしさを表しているようで、素敵です。
この頃の失恋の歌といえば、女性が受け身のものがほとんどだったんですが、この歌、よく歌詞を読んでいくと、彼をフッてしまう女性を描いてるんですね。こういう「新しい女性像」を歌った歌、杏里にはぴったりだと思いませんか?
「オリビア」とは、「カントリー・ロード」や「フィジカル」などのヒットで日本でも大きな人気を博した歌手、オリビア・ニュートン=ジョンのことです。杏里が尾崎亜美へ「オリビア・ニュートン=ジョンが好き」だということを話したことがこの曲の制作につながったのだそうです。歌詞の中にも、1977年のオリビアの曲「Making a Good thing better (邦題:きらめく光のように)」のタイトルを引用した部分がありますね。
歌詞の中に「ジャスミン・ティーは 眠り誘うくすり」という一節がありますが、ジャスミン茶という種類の茶葉があるわけではありません。
緑茶や烏龍茶に使われる茶葉にジャスミンの花の香りをつけたものがジャスミン茶です。成分にはカフェインが含まれているため、「眠りを誘う」よりは、どちらかというと眠気覚ましの効果があるそうです。
ただし、リラックス効果や疲労回復効果があるので、気持ちが穏やかになったり、不眠なども改善できると言われているんだそうですよ。
今やこの曲、日本が生んだポップスの名曲中の名曲のひとつと言われています。そしてその評価どおり、いつの時代でも変わらず歌われ、これからも歌い継がれてゆくことでしょうね。
[歌 詞]
◆オリビアを聴きながら
■歌
杏里
■シングル・リリース
1978年11月5日
■作詞・作曲
尾崎亜美
■編曲
瀬尾一三
■チャート最高位
オリコン65位
■売り上げ枚数
約5.5万枚
■収録アルバム
apricot jam (1978年)