
子どもの問題には、親の問題が背景になっていることがあります。
学校の教員なら、クラスの子に何らかの課題を見つけたとき、それを改善させる方向に指導をします。このとき、子どもの背後に親の問題が隠れていることに気づくことがあります。
こんな実例があります。あるとき、授業を抜け出した女子生徒(中学2年)に、階段の踊り場でわたし(学級担任)が指導をしていると、その子は泣きながら言っていました。
「私は定期考査にお母さんが、がんばれと言ったからがんばった。点数は20点以上上がった。なのに、お母さんはとなりの家の子は90点以上とったそうよ。となりの子と私を比べて・・・。」
この女子生徒は、泣きながら、壁をけって、悔しがっていました。
母親が、わが子の努力を認めるどころか、となりのもっと点数の高い子と比較したという悔しさが、授業を抜け出す行為のきっかけとなっていました。
このお母さんは、熱心さのあまり、家でいつも「テストでいい点数をとるように」と子どもに強いプレッシャーをかけていたのでした。
「そうだったの!」と親がこのことに気づくと、子どもへの対応が変わってきます。
親が子どもの問題の原因を子どもに求めるのではなく、自分に求めようとして、自分のことをふりかえり始め、接し方や言葉かけを変えてみたとき、子どもの様子が変わり始めることがよくあります。
わたしは三中の保護者のみなさんが上の実例のように、お子さんに過度のプレッシャーをかけているとは、もちろん思いません。
しかし、もし思いあたることがある方は、子どもを変えようとしないで、親が自分の態度や言葉かけの仕方を変えてみましょう。子どもの様子もすこしずつ変わってきます。
「子育ては親育てである」とよく言われるのは、このような面からも納得がいきます。