箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

多いと感じるか、少ないと感じるか?

2015年09月26日 17時56分41秒 | 教育・子育てあれこれ


 雑誌にこのような記事が載っていました。
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電通総研が、「『若者×働く』調査」の結果を、8月13日に発表した。調査対象は、週3日以上勤務する全国の18~19歳の就労者3000人だ。
 その中で、とくにマスコミが注目したのが、「できれば働きたくない」と答えた割合が28.7%だったこと。40.4%が「仕事はお金のためと割り切りたい」と答え、調査レポート自体にも「消極的なマインド」と書かれていることもあり、否定的なニュアンスの記事もあった。
 しかし、この数字は多いのだろうか? 経年の調査ではないので過去との比較はできないが、わが身を顧みていただきたい。
 なお、「働くのは当たり前と思う」は、「できれば働きたくない」を上回る39.1%だった。
(雑誌『THE 21』2015年10月号(No.371・PHP研究書発行)の「今月のキー・フラッシュ」より)
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私にも、多いか少ないかは断定できません。ただし学校に身を置く立場からすれば、たとえばいまの三中の3年生が労働する年齢になったとき、約28%の生徒が「できれば働きたくない」と答えたとします。

33.3%が約3分の1ですから、学年の約3分の1近くの生徒が働きたくないと答えたとするならば、中学校としては、進路学習の課題として由々しき問題と感じざるをえません

私が思う仕事の価値とは、もちろんお金を得るためもありますが、いちばん大きいのは、社会に貢献できる喜びを得ることだと思います。

すべての仕事は、人の役に立ったり、人から喜ばれることで、働く人の意欲やモチベーションが高まり、生きがいになると私は思います。

ホテルのコンシェルジェは、最高のサービスをお客様に提供して、「ありがとう」と言ってもらえ、役に立つことができたと感じて、意欲が高まります。

医師は病気を治して、「先生のおかげで元気になれました」と患者から言われて、貢献感を得ます。

とくに教職は、生徒からの反応が直接的に返ってくるので、貢献感を感じやすいのかもしれません。

たとえば、やんちゃで手のかかった学年が卒業前に「先生、3年間ありがとうございました」と言ってくれると、3年間の苦労は一瞬のうちに吹き飛び、教員としてのモチベーションは、一気に高まります。

過去に校長をしていた学校でも、すこしかかわりの深かった女子生徒が、卒業前にわざわざ手紙をもってきてくれました。私はその手紙を読みながら、その子の卒業までの道のりをふりかえり、涙があふれ出しました。

「できれば働きたくない」と答える人が、人とのかかわりを億劫に感じているとするならば、人にかかわり、かかわることで自分が生きがいを得ることができることを中学生自身が学びとる進路学習が、中学校に求められています。

中学生は勉強するものという価値観が強く作用する(もちろん勉強は大切ですが)ため、働くことを遠い先のことと捉えていた生徒たちが、職場体験で「自分も働くことができるのだ」と実感して、自分と社会のつながりを感じる。

働くことで、他の人が喜んでくれる。
私ってけっこうできるかも。

こんな三中生に育ってくれる進路学習が必要なのです。

このように、私は雑誌の記事を読み解きます。

保護者のみなさまは、できれば働きたくないと答える約3割を多いと思いますか?少ないと思いますか?