箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「自立」のためには、まず「依存」を

2015年09月21日 18時27分48秒 | 教育・子育てあれこれ


たとえひとときにしても、「こうしたい」という希望をおとなに頼り、かなえてもらえたら、子どもには安心感が生まれます。

この安心感とは「自分がおとなに受け入れられている」という感情です。この安心感があれば、いつかその子はそれを支えにして、一人で歩き出すことができるようになり、自立に向かっていきます。

自立と依存は対極の意味どうしですが、子育てにおいては、「自立するためには、たっぷりとした依存が必要」なのです。

人は自分が依存できる相手を信頼するものです。そして…
①人を信頼する子どもは、人とつながりながら生きていけます。
また…
②人を信頼する子どもは、自分も信頼することができます。そのような子は意欲や気力をもって自立して生きていきます。

ゆえに、おとなには子どもとの間に、子どもが依存できる関係をつくることが求められます。

この点で、子どもが「~したい」という要求を出してきたら、おとなは即座に「ダメ」とか「無理」と答えないほうがいいのです。

たしかにダメとか無理なこと、できない場合もあります。そのような場合には、「気持ちはわかるけど、・・・だからできないの」という理由を添えて説明しなければなりません。

つまり「即座にダメといわない」がキーワードです。即座のダメ出しは、おとなが子どものいうことを否定していると受けとられます。

即座に「ダメ」と言われた子どもは、「たよることができない」と感じます。つまり依存できなくなります。

また、即座に「ダメ」と言った後、子どもにいうことをきかせようと、おとなはさらに子どもを叱ることもよくあります。

かりに「おまえなんか(あなたなんか)、うちの子やない」と怒鳴ってしまったとしましょう。
このときの子どもの気持ちを考えてみてください。

怒鳴られた子どもは「おまえ(あんた)のところになんか生まれてきたくなかったわ」という感情を抱くことにもなります。

小さな子どもはうまく言葉にできないので何も言わないかもしれません。子どもは要求の理由を言葉で表すことができないからです。そもそも、理由なんてないのかもしれません。ただ「したいからしたい」のです。

思春期の子どもなら言語化できますので、「こんな家なんか出ていってやる」と返してくることもあるでしょう。

ですから、まずおとなは子どもの話に耳を傾け、依存できる関係をつくってください。それはいつの日か、子どもがたくましく自立していくチカラとなるのです。