不登校の子どもは、まったく学校へ行くことが無理という状況がずっと続くのではなく、どこかでいつかは「変わり目」が来る場合が多くあります。
「変わり目」とは、「ずっと家でふさぎ込んでいたけれど、ちょっと学校へ行ってみようかな」と子どもの気持ちに変化が起こる節目(ふしめ)のことです。
ただ、このような気持ちの変化が起こったとしても、たいていの場合、再登校までの道筋を、自分でイメージすることはできません。
そこで、子どもが目標達成までの道筋を描くには、おとなの力が必要になります。
おとなに比べて子どもは経験が少ないのです。でもおとなは、子どもよりは豊富な経験を積んでいます。また論理的に筋道を立てて考えることができます。
子どもも、たしかに思春期の入り口あたりから、論理的思考が少しずつ育ってきます。しかし中学生・高校生ではまだ十分ではありません。
だから目標に達するまでの道筋が見えにくいため、子どもは「もう無理!」とあきらめてしまうことにもなりかねません。
よって、おとなからの適切なサポートが必要になります。このとき、おとなは自分の経験と論理的なものの考え方を使い、子どもにアドバイスを与えます。
ただし、この場合、おとなが一方的に道筋を示すのではありません。子どもといっしょに目標を達成までのプロセスを考えるのです。
いまはこういう状況。これからはこうして、すると、次にはこうなって、そしてこうすれば、ゴールがまでたどり着く・・・。
具体的に目標を達成するまでの道筋を子どもといっしょに描くのです。
ただし、このときの留意点がいくつかあります。
おとなが強引に話を進めず、子どもが納得できる道筋にする。説得するのではありません。
そして、やってうまくいかない場合は、いさぎよく引き下がる。
さらにタイミングを見はからい、何度も試してみる。
たとえば、
学校の正門までなら行ける?
→うん、行ける。
じゃあ、先生に正門まで迎えてもらうように頼もうか?
→うん、頼んでみて
教室でなく、別室で勉強してみる?→(やってみて、途中で帰りたくなった場合)今日は帰ってもいいよ。
また、別室で勉強してみる?
→してみる
次は、友達のAくんに休み時間、別室に呼んでこようか?
→うん、ちょっと会ってみる。・・・・・・・。
おとながこのような道筋を示し、再登校までのイメージをもち、一歩ずつステップを踏んでいった子が、登校できるようになり、ずっとクラスで過ごし、中学校を卒業していった例も、実際にいくつかあります。
子どもがとまどい、立ちどまっているとき、おとなは以上の点に留意して、いっしょに目標達成までの道筋をつくり、イメージをふくらませることで、サポートしていくのです。