箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「経験」のないことは人に語らない

2023年07月15日 13時36分00秒 | 教育・子育てあれこれ
わたしは教育について語るとき、それは自身の約40年にわたる教職経験がもとになっています。

人が何かを相手に話すときや文章で表すとき、その人自身の「経験」は、やはり大きい意味をもちます。

なぜなら経験したことは事実や現実に基づくからです。

そして経験したことは、聞く人にとって説得力があります。

「傾向」や「数値」「公式」や「平均」というひとくくりがとりこぼしてしまう個別具体的な「経験」の中にこそ、本当に普遍的なものがあると言っていいでしょう。

だから、人は対面した交流を通して他者の経験を聞き、共感しあい、ものごとを共有するのです。

ところが、おそらく今後chatGPTの利用は、飛躍的に増えるでしょう。

スマホの利用が爆発的に広がったように。

chatGPTは、聞き及ぶところでは人工知能を使い、世の中に溢れる情報から「傾向」「数値」「公式」「平均」に基づき生成された答えを導き出します。

それは個々人の経験に基づくものではなくなるのではないかと、わたしは考えています。

美術や音楽についても、今後は人工知能が作った作品が急増するのではないでしょうか。

過去のたくさんの人の作品のデータからできた作品が出回ることになるでしょう。

そうなると、芸術こそ作者の経験が生み出すものであったのに、経験は切り捨てられていくのではないかと懸念します。

今後も自分の経験に基づかないことは語らない。

これが、chatGPTとの付き合い方になるのではないかと思うのです。




コメントを投稿