箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

2009年と2020年の比較から

2020年07月17日 06時21分00秒 | 教育・子育てあれこれ


2009年に「新型インフルエンザ」が国内で流行しました。当時、わたしは中学校の教頭をしていました。そのときも数日間学校は休校になりました。

ただ、2009年の時の学校での人々の恐れかたと今回の恐れかたはかなり違うと、わたし自身は実感しています。

もちろん、2009年の時は感染者が限定的で、感染拡大も新型コロナウイルスほどではありませんでした。

でも、それをふまえて考えても、今回は恐れすぎという印象がぬぐえません。

つまり、2009年には、教職員や保護者は、恐れるには恐れていたのですが、今のように徹底的に消毒するようなことはなかったです。

たとえば、今回は、どこにウイルスが付着しているかわからないまま、「ここも拭いておかなければ」と、教職員はウイルスの消毒に精を出します。

そして、いまや学校ではやることをますます増え、学校は疲弊しきっています。

これは、やはり国が決めた全国一斉休校のインパクトが強く、その影響で人々が過度に恐れすぎるようになってしまったからでないかとまで思っています。

その点では、政治や行政のかじ取りをする人が、新型コロナウイルスを「適切に恐れる」ことが重要だと思うのです。

「あなたは、校長を退任したから、そんな気楽な第三者的な意見が言えるのだ」というそしりを受けそうです。

そうかもしれません。もし自分の学校で感染者が出たらこんなことも言っておれないとも思います。

しかし、校長でないから、ある意味、外から客観的に学校を見て、恐れかたがどうあるべきかが見えてくるのです。

そもそも感染をゼロにすることはできないのです。
だから新型コロナウイルスがどんなものかを知って、ある程度は許容範囲のなかに入れていかないと、大勢の集まる学校生活は成立しなくなります。

だから、リスクがどの程度であるかを知っておき、重症者がスピーディに受診でき、治療してもらい、回復につながるようになれば、安心でき、適切に恐れながら学校生活をまわしていけます。

その際、人同士が近づきすぎないということは、感染予防としては確かな効果があります。

その一方で、くっつきたくなるのが小さな子どもの特徴であり、そこから人間関係を築く基礎を学んでいきます。

ですから、年齢的な発達段階も考慮しながら、学年によって距離をちがわせるなど柔軟な対応をすればいいと思います。

そして、ウイルスや感染症への認知が進んでいけば、もとの距離に戻せばいいのです。

「新しい学校生活様式」は、これからも卒園・卒業まで続くのではなく、リスクの時期を乗り切るための一時的なやり方であるのです。


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