最近は、児童生徒が将来になりたい職業が変わってきたと言われます。
少し前まで、野球選手がダントツに高かったのですが、それがサッカー選手にかわり、今ではYouTuberのような動画投稿者、eスポーツ選手、ゲームクリエーターなどが上位に並ぶようになりました。
中高生になると少しかわってきて、公務員、教員のような堅実な職業が増えてきます。
コロナ禍の影響で「安定志向」が進んでいるのかもしれません。
ただし、YouTuberであれ、公務員であれ、子どもたちは身近で、見えやすい、わかりやすい職業に目がいっています。
たとえば、空港ではパイロットやCAなどが見えやすいですが、飛行機の整備士や手荷物を積み込み人、航空管制塔で勤務する人たちのことは視界に入らないことも多いものです。
多くの人びとの働きがあって安全な旅ができるのです。
学校教育の一環として、社会を支える、見えにくい仕事に目を向けさせることも重要です。
1990年代に、わたしのいた中学校で当時では珍しい進路学習をしました。
さまざまな仕事の人を学校に招待して、中学3年生に仕事の話をしてもらうという学習でした。
その生徒たちが卒業して、何年かして再会しました。
「今、何の仕事をしているの?」
「伊丹の空港で飛行機の整備士をしています」
「ほう。それはまたなんで?」
「先生、忘れたのですか。中3のとき、学校にいろいろな仕事の人が学校に来てくれたでしょう。ぼくはそのときに、整備士の話を聞いて、それから整備士をめざすようになったのです」
そのようなやりとりをしました。
中学生のうちに、普段生徒の目が向きにくい、さまざまな仕事に出会えるきっかけをつくっておくことの必要性を認識したのでした。
義務教育の間にできることは限られています。
でも、おとなになるための「種」をまいておくと、いずれ芽を出し、花を咲かせることもあるのです。
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