箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

子どもには伝わる

2021年11月22日 08時33分00秒 | 教育・子育てあれこれ


コロナ災禍の影響を受け、失業した父が家にいます。

母はフルタイム勤務で家計はなんとか回っています。

父は仕事を探そうともせず、家でぶらぶらして、子どもにあたります。

子どもの前で夫のことを悪く言わないように母親は気をつけていますが、夫に対してイライラしているのが子どもに伝わるのか、「お父さん大嫌い」と息子は何度も言います。

お父さんはしばらくは冗談と受け流していますが、息子がしつこく言うと我慢できなくなって、息子が泣き出すまで追い詰めます。

このような家庭がコロナ渦が長引くとともに増えたと聞き及びます。

この事例を客観的に見たとき、おそらくこの子どもはお母さんの気持ちを代弁しているのです。

「コロナだからと言って、なんで長い間、家でぶらぶらしているの。私は働きづめなのに」、「それで父親だと言えるの」。

そのようなお母さんの気持ちは、口にしなくても、子どもに伝わるのです。

実際に夫婦で口論にはならなくても、お母さんが困った表情をしていると、子どもはお父さんがお母さんを困らせているように見えるのかもしれません。

お母さんがお父さんの再就職を信じているのなら、子どもはこんなことを言わないと思います。

また、こういう考え方もできます。お父さんが息子にイライラしてあたっている言葉の攻撃は、ほんとうは妻に対して言いたいことのかもしれないのです。

ところが収入がなく、家計のすべてを妻に頼っている身ではけっして言えない言葉なのです。

もし、口をすべらせれば、それこそ元も子もなくなるからです。

以上の見立ては、表面的には父と子の問題ですが、家族の「いま」そのものです。

子どもは、両親の仲良しがいちばん安心できるのです。両親が笑ってたのしく話している様子だけで、心理的に安定できるのです。

このケースの場合、お母さんは「男性は外で仕事をするのが当然」と考えているようです。お父さんも。そう考えているのではないでしょうか。

だから、苦しいのです。

もし、お父さんが外で働くのが当然という考えを捨てられないのなら、どんな仕事であっても、そこでがんばるのがいいでしょう。

お父さんがどうしても、仕事が見つからず家にいるのなら、「家事と育児を一生懸命する人」として、お母さんがお父さんを尊重するしかないでしょう。




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