箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

子どもを支える大学生

2021年07月09日 05時37分00秒 | 教育・子育てあれこれ


いま、大学生がボランティアに取り組むNPO法人の活動が注目を集めています。

ボランティア団体のもとにボランティア希望の大学生が登録し、小中高校生の学習支援や野外活動に従事します。

学生は生活困窮世帯の子どもへの学習支援として、勉強を教えます。また、放課後の居場所となり、子どもをサポートします。

なかには、自治体(市町村教育委員会)から事業を受託する場合もあり、たとえば学校に来にくい不登校の子への学習支援として、学校の一室を借りたり、なかには家庭へ出向き勉強を教え、登校復帰を支援します。

教師ではなく、学生が学習支援をするメリットは、子どもにとっての身近なロール・モデルとなるおとなになり得ることだと、私は考えています。

生活困窮家庭の子どもや家庭環境の厳しい子は、将来の展望が描きにくく、その現状の中で立ちすくんでいる場合がよくあります。

大学生は、「わたしもこうすれば大学生になれる」という近未来の目標を示すことができるのです。

学生は、その子どもたちと年齢も近いからこそ、子どもにすぐ先の将来像を示すことができるのであり、これは教師にはできにくいことなのです。

阪神地域のあるNPO法人の場合、学生の登録数は500人にのぼり、学生はキャンプや野外遊び、スポーツなどさまざまな行事を企画し、NPO本体がそれをサポートしています。

学生は企画した以上、運営をすすめ、安全に行われるよう責任を負うようになります。

たとえば、野外の活動を運営するなら、熱中症対策も万全に計画に盛り込み、事故を防止する対策もついてきます。

これらのボランティアの学生は、大学当局から言われてボランティア活動をしているのではないのです。文字どおり、自発的に課題に取り組みたいと考え、活動しています。

つまり、自分の意思で決定し、選んだことにチャレンジして、社会に主体的にかかわろうとしているのです。

この点で、この活動にかかわる学生は、まだ社会には出ていないかもしれないが、「社会人」であるのです。

教育は、学校の教員の専売特許のように捉えられがちですが、けっしてそうではありません。

東北地震で家や家族を失った子どもたちの学習支援にかかわり、励まし、勇気づけ、元気づけるために果たしたボランティア学生の役割は大きかったのです。

教員でなくても、真摯に子どもと向き合い、子どもの悩みに共感し、寄り添い、なんとかその子たちが自立できるように、「伴走型」の活動している人たちがいることを、私たちは知っておきたいと思います。


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