しかし、一定の支援は必要となるため、一部の授業を別室で受ける支援体制があります。その支援とは「通級指導」といいますが、いまそののニーズが高まっています。
その通級指導を推進する根底にある考え方は、以前は(周りにとって)「困った子」と言われがちだった子どもは、実は(本人が)「困っている子」であるという見方-考え方なのです。
そして、発達障害の児童生徒は、その傾向があるいわゆる「グレーゾーン」の児童生徒を含め、いま「特別な支援が必要な子」と捉えられるようになっています。
では、具体的に、通級指導とはどのような指導なのでしょうか、また、現状での課題にはどのようなことがあるのでしょうか。
たとえば読み書きに困難を感じている学習障害の子は週1回の通級の時間になると、通級教室にやってきて、通級担当教員から個別指導をうけます。
漢字を書くのが苦手な子には、その子に適した工夫をこらした支援により、自己肯定感を高め、学ぶ意欲を引き出します。
またクラスには、対人関係での緊張が強く、集団の中で意見が言いにくい、言葉を使い伝えることが難しい子がいます。
そのような子を別教室に抜き出し、通級担当教員が一対一の学習指導をします。
さらに、ほかのクラスから同じ時間に通級教室に来ている別の子とグループで活動したりもします。
対話をもとに、本人の願いや思いを受け止め、受容されているという子どもの感覚や気持ちを高めていきます。それが他の人とコミュニケーションをしたいという意欲につながっていきます。
通級指導を受けるようになり、児童生徒は成長していきます。
授業中に勝手に発言したり、手をあげ続けたりして、クラスの全体の状況にそぐわない行動がなくなっていくことがあります。
通級指導で発言すべきタイミングを教えてもらったことでクラスメートと同じような行動が取れるようになるからです。
そもそも、通級指導は学校教育法を根拠とする特別支援教育の指導の一つです。
1993年に制度化されました。対象となるのは、言語障害、自閉症、情緒障害、弱視、難聴、学習障害(LD)、注意久陥多動性障(ADHD)、肢体不自由、病弱・身体虚弱などの児童生徒です。
しかし、通級指導を必要とする児童生徒が増加しており、教員不足の現状のもと、指導をする教員を十分に確保できないという問題点が現れてきています。
増加しているというのは、ずっと以前は発達障害の子に光が当たらず、その支援がないまま通常学級の一斉指導で過ごしていたからです。
また、わが子を通級へ通わせることをためらう保護者の理解を深めることも課題です。
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