箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

“It is so beautiful.”

2020年03月05日 08時04分00秒 | 教育・子育てあれこれ

1984年にマザー・テレサが来日しました。

 

集まった人に話し終えたときでした。ある男性がマザー・テレサに一つの質問をしました。

 

その質問は悪意をもってしたものではなく、その人がほんとうにずっと疑問に思っていたので、尋ねたいと思っていたのでした。

 「わたしは、あなたとあなたの行っている行動に、深い尊敬の念をもっています。でも、どうしてもわからないことがあります。

 あなたの活動場所では、スタッフも医薬品も不足しがちと聞きます。でも、なぜその貴重な薬を、もう生き返る見込みのない人に与えるのですか。」

 

マザー・テレサの返答は明確でした。

 

「私たちの医療所に連れてこられる人は、路上で死にかけているホームレスの人です。

彼らは生まれてから一度も与えられたことのない薬を飲ませてもらうのです。

生まれてから一度も受けたことのない温かい手当をうけたあと、彼らは死んでいくのです。

そのとき、例外なく『ありがとう』と言って死んでいくのです。

日本では想像できないことでしょうが、生まれて一度も医者に診てもらったことのない人、薬を飲んだことのない人が世界にはいます。

 生まれてきたこと望まれず、他者から邪魔者に扱われ、生きていなくても同じであるかのように疎まれます。

自分を産んだ親さえをも憎み、冷たい社会に失望して死んでいこうとする人が「ありがとう」と感謝して死んでいくのです。

そのために使われる薬も医療者も、これ以上尊い使われ方はないのではないでしょうか」



話を終えたマザー・テレサは、感無量に “It is so beautiful. とつぶやきました。

 

ホームレス(homeless)という言葉は、たんに「住む家がない」という意味ではありません。「home(心の居場所)がない」という意味です。

 

日本の場合はどうでしょうか。


中学生が野宿生活者をからかったり、投石したりという事件が以前にありました。

また、野宿生活者に対して、「本人の努力が足りないから」という自己責任論のまなざしがむけられるのには、私はとまどいを覚えます。

野宿者問題は、個人の努力の問題などではなく、日本の社会が生み出した社会のしくみの問題なのです。

 



コメントを投稿