箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

「ものごとには理由がある」と教えてくれた先生

2022年02月05日 08時16分00秒 | 教育・子育てあれこれ
成人してから、自分の思春期時代を思い出し、客観的に見た自分をふりかえる人も多いのではないでしょうか。

わたしもよくふりかえりますが、中学生の途中からさまざまななことで、自信をなくしたのを覚えています。

とはいいながらも、一方で自己肯定感は高く、この相矛盾する気持ちを抱え、悶々としていました。

中学の途中まで、授業中よく手をあげて発言する生徒でしたが、あるとき「自分がわかっていればいい。わざわざ発表しなくても」と感じるようになりました。

わたしはこの考えを先生に相談しようとは、思いませんでした。

こころのどこかで、「話してもわかってくれない」と思っていました。


高校に入ると、授業中に指名されあてられることにビクビクしていました。

あてられて答えると、ドキドキして、心臓はバクバク、真っ赤に赤面していました。

これを脱することができたのは、大学生になってからでした。


思春期のこころは、おとなから見れば矛盾する二項対立を抱えていることも多いものです。

さて、新聞に次のような体験談が載っていました。


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中学校の生徒会の一員として、私は学校から模範的であることを求められていました。

でも、締め付けられるのが嫌でスカートを短くし、カバンにシールをたくさん貼り付けて通学していました。

大人は「ルールだからダメ」と決めつけがちですが、先生はちがいました。


「そうしたいなら、全員に説明できる理由をちゃんと示しなさい」

じっくり考えて返事を書いたら、「カバンにシールを貼るのがあなたの個性だとしたら、すごく小さい。

文化祭で出し物をやるとか、生徒会通信で面白いことをやるとかして個性を出したらどうだ」と返ってきました。

ならばと文化祭で一人演劇をしたり、大量に油絵を描いて展示したりしました。

先生はそれぞれに合った解決策を提案してくれた。

先生からは、物事には必ず理由があるということを学びました。

わたしは小学生の頃から映像や絵や音楽など、何かを表現したいと夢見てきましたが、先生と出会い、作品に心を動かされる理由や作者が表現に込めた意味について思いをめぐらせるようになりました。

このようにして、「考えること」のきっかけをもらった。

中学生は何かしら照れくささを感じたり、自分を大きく見せたりすることが往々にしてあります。

大勢でわいわいガヤガヤやることもありますが、人と人が一対一で行うコミュニケーションは、生身で向き合うことができます。

そんな相手がたくさんはいなくても、誰か一人でもいれば、思春期の風景はまたちがって見える。
             (映像ディレクター 大森 歩)
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