いわゆる「団塊の世代」(1947年、1948年、1949年生まれ)は、ほとんどの人がいま労働の一線から退いており、後期高齢層に入ります。
この世代は、日本の高度経済成長の時期に10代でした。バブル景気のときには30代でした。
学歴社会にもとづく、いわゆる「いい学校」「いい会社」という価値観が日本で形成・定着されたころで、バリバリ働く世代でした。
残業もいとわず、「努力すればよくなる」がモットーの働き方・生き方を実践してきた人たちとも言えるでしょう。
高度経済成長期は、個人への富の分配が大きく、学歴や仕事にかかわらず、みんなに一定の所得があり、「一億総中流社会」と言われました。
ただし実際には、この頃の働き方・生き方は男性中心の考えで、ジェンダーのバイアスが強くはたらき、多くの女性は「努力すれば報われる」とは思えなかったのが事実です。
女性は「腰かけの仕事」として就職し、24,25歳ごろに結婚し、家庭に入る人が多かったのです。
しかし、その後はバブル景気とともに働く女性も増えてきました。
バブルが崩壊(1990年代はじめの頃)したあと、新自由主義的「自己選択・自己決定・自己責任」という価値観に日本社会は覆われました。
その後は、正規・非正規という所得格差が大きい雇用が定着してしまい、クレジットカードを作れないとか、住宅ローンが組めない人が現れています。
コロナ渦はジェンダー×正規・非正規雇用の問題をあぶり出しました。つまり、もっとも深刻な被害は、非正規雇用の母子家庭の女性にあらわれたのでした。
日本は、今後も福祉の充実した国をめざしていくことになるでしょうが、それには国民に高負担を強いることになります。
したがって、現実的には格差が拡大する方向に向かうのでないかと思います。
このままでは、富裕層と貧困層がますます広がるのではないかと危惧します。
私たち学校の教員は、男女間のジェンダー問題の解消に向け、男女協働参画社会をめざす教育を「男女共生教育」として実践してきましたが、いまは「ジェンダー平等教育」という名称になります。
日本では2021年は、ジェンダーの課題が浮き彫りになった年でした。
今後の学校教育には、男女が対等な関係で、共に働き、共に役割分担をする社会づくりにいそしみ、格差社会を是正していく考えを浸透させ、行動していく人を育てていくことが求められます。
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