箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

組織への帰属意識は不可欠

2022年01月08日 08時42分00秒 | 教育・子育てあれこれ

私は以前よく教職員に言っていたことがあります。

他校から転勤してきた教職員は自分の学校のことをしばしば「この学校では・・・」と言います。

それをやめるように言っていました。

「私の学校では・・・」または「三中では・・・」と言うようにしましょう。

このように言っていたのです。

生徒・保護者にとって「私の学校では」という教師と「ここの学校では」という教師のどちらに頼りがいを感じるでしょうか。

「ここの学校」と聞けば、この先生は前の学校と比較しながらうちの学校のことを話している。

しかし、「私の学校」と聞けば、先生が学校に愛着を持っているのだと感じます。

つまり、自分の両脚を入れて学校を捉えているか、片脚を前の学校に残しているかが透けて見えるのです。

教師が学校を好きでないのに、自分の学校にどっぷりと浸かっていないのに、生徒が学校を好きになることはあまりないと思うのです。

自校への帰属意識が高く、以前の勤務校と比較して斜めに構えるのでなく、胸を張って「わたしの学校では」と言ってほしいのです。


分野を変えて同様に、評論をする人やメディアも、「この国では」という発言や表記をしばしばします。たとえば「この国はどこへ向かうのか」などです。

その言葉に、なにかよそよそしい、第三者的印象を受けるのです。「あなたの国ですよ」と言いたいのです。「日本では」と言えばいいのです。


思えば、人間は仮想の世界・空間ではなく、現実の場所にいっしょにおり、コミュニケーションを行い、信頼関係を築き、深めていくものです。

だから、学校では児童生徒は友だちや教職員が集い、日々の教育活動を進めているのです。

新型コロナウイルス感染防止として、テレワークを始め、定着してきた会社もあります。

しかし、実際に会社へ出勤して、協働しあい、共鳴することで画期的なアイデアや企画は生まれるのです。

直接会うことは、人間にとっての根源的な欲求であり、社会の在り方そのものです。

前例があり、同じような仕事をするのならテレワークでもできるでしょう。

しかし、新たに何かを生み出すようなプロジェクトの場合、ネット空間だけでは限界があります。現実の場での濃いコミュニケーションが欠かせません。

会社や企業の文化を醸成するには、対面コミュニケーションが必要です。

社員の会社への帰属意識は、そのような濃密な関係から生まれます。会社への帰属意識のない社員から、商品のセールスを進められても、信頼できるものではありません。

ですから、すべてテレワークでは代替できない仕事があるのです。

アップル社などは、テレワークもやっているようですが、メインオフィスをデンと構え、社員が集い、コミュニケーションを交わし、次々とイノベーションを生み出しています。


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