箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

学校は毎日が「非日常」

2020年05月21日 08時05分00秒 | 教育・子育てあれこれ

新型コロナウイルス感染防止のための休校で、いま、学校や大学でオンライン授業が増えてきています。

セミナーやミーティングを離れたところからできるアプリやソフトを使い、教師が児童生徒、学生たちに授業をします。

授業や講義は、授業者から学習者への一対一の一方通行でなく、誰かの発表や発言を映像と音声の両方を通して、全員で共有もきます。

質問があれば、チャット機能を使い、学習者は授業者に個別にきくこともできます。

このようなオンライン授業は、学習者に知識を伝える講義型対面式の授業に替わる授業のやり方として、新型コロナウイルス収束後も残っていくかもしれません。

この点だけをみれば、児童生徒、学生が学校やキャンパスに通わなくても、学習できると考えられないこともありません。

そこで、オンライン授業とは違う学校の特質を考えてみます。

学校へ通うには、小学校の場合、集団登校で異年齢の子ども同士のかかわりあいがあります。

一人で登校するにしても、途中で近所の人に会い、あいさつをします。途中で友だちに会い、おしゃべりしながら学校へ向かうこともあります。

このとき、歩くという労力や電車等に乗る交通費と時間を費やします。

学校では、クラスメートとのおしゃべりが楽しみでもありますが、複数の人が集まる中で、対人関係でイヤな思いをすることもあります。

授業では、教師からの発問をもとに、さまざまな考えの答えを出し、他の友だちと対話をして、自分の考え、学びを深めることができます。

また、実験や実習をもとにした研究をする場合もあります。

学校行事で、クラスメートと力をあわせ、目標に向かい努力をすることを学びます。

部活動で、入賞をめざし、技能を高めたり、チームワークを築きあげます。

学校とは、これらのすべてを織り込んだ総合的な体験ができる空間です。

たんに、教師の講義や説明を聞いて学習するだけの場ではないのです。

日常の学校生活の中では、子どもにとっては一日一日が非日常であり、小さいけれども、大切な、小さな「冒険」ができるのが学校という場です。

オンライン授業でできることは、今後もやっていけばいいのです。

ただ、学校は、人間の根元的で動的な、かけがえのない営みの「発電所」であり、さまざまな思い出を、体にしるすのです。

だからこそ、1872年の学制以来、約150年にわたり、学校は存続しているのです。







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