箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

休校あけ 今、学校がやるべきこと

2020年05月28日 07時50分00秒 | 教育・子育てあれこれ
グローバル化の時代は、人・もの・金・情報が国境を超えて行き交うと言われてきました。

日本でも、製品の生産拠点を国内から国外に移す企業が増えました。

就労する人が海外から多くやってきたり、たくさんの観光客が日本にやってきて、観光業は活況を呈して、マネーが日本経済を潤していました。

移民受け入れ拒否という国も現れましたが、一般的に言えば、グローバル化の進展は日本の社会・経済の発展にプラスとして捉えられてきました。

しかし、新型コロナウイルスの感染症が国境を超え世界的に蔓延する状況は、人類にグローバル化のマイナス面を知らしめました。

グローバル化の光と影を知ったいま、人びとは、プラス面でもマイナス面でも、世界は「つながっている」ことを痛感しています。

日本政府は、今年2月27日に全国一斉の休校要請を出しました。

これにより、多くの学校が年度末の学校行事や試験を変更したり、中止したりしました。

学校教育のフィールドにとっては、この休校措置がとくに不運なタイミングになってしまった理由は、新年度の開始を直撃した点にあります。

新しく入学する子どもはいうまでもなく、進級した児童生徒も4月から新しい学年・クラスになります。教員の人事異動も重なりました。

学級担任との人間関係も、クラスの友だちとの人間関係もできていない時期に、この休校はダメージが大きすぎました。

加えて、この新型コロナウイルスの感染を収束させる鉄の掟は、人と人が物理的な距離を開けることで、これが地震や風水害の災害とは大きく異なる点でした。

この状況のもとで、これから学校関係者は子どもをどう育んでいけばいいのでしょうか。

まず、必要なのは、学習面は学力向上を目指すというよりは、学習面では「現状維持」でよしとする「あそび」というか余裕をもつことではないかというぐらいに、わたしは考えます。

「このピンチをチャンスに変える」という勢いで、一気に学校教育のICT化を進めるという方法もあるでしょう。それもいいことだと思います。

ただし、ICT化はあくまで教育の手段にしか過ぎないということも確かです。

教育の最大の目的は、教育基本法に定めるように、児童生徒の人格の完成です。その本質を忘れなければ、人格完成のための支援方法は多様にあります。

大阪の教育は、児童生徒を教育するとき、その子の家庭や地域での生活や暮らしという生活背景に目を向け、子ども理解を進め教育を実践してきたという、長い歴史があります。

子どもの家庭の状況はさまざまです。なかには、今回の新型コロナウイルスの蔓延で、収入がなくなったり、健康を損なった家族がいたりするかもしれません。

児童生徒はその生活をまるごと引きずって学校へやってくるのです。ひたすら人との出会いを求めて。

したがって、学校がもつ最大の資源は教職員団です。異なる個性をもつ教職員を生かして、すべての子どもを学校で受け入れ、児童生徒支援を展開していくのが、いまいちばん学校がやるべきことなのです。


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