学校の授業のなかでも、児童生徒が学習の「ふりかえり」の活動を行う時間を十分に確保できている授業者(=教師)は、けっして多くはありません。
たいてい、45分か50分の授業で、学習したことを最後にふりかえる時間(5分程度)がくるまでにチャイムが鳴り、授業が終わってしまうことが多いためです。
時間を確保できても、ワークシートを配り、「友だちと話し合いができた」とか「今日の授業はよかった」、「また学習したい」などの感想を書かせるだけで、授業を終えることが多くあります。
しかし、それぞれの子どもが1時間の授業で学んだことを、自分の中に落とし込むためには(これを私は「内面化する」と呼んでいます)、「ふりかえり」が必要だと考えています。
「ふりかえり」は児童生徒に感想を書かせたり、それを発表する活動が中心になります。
それは、次の学ぶ意欲につながります。また、学習集団としての児童生徒同士の人間関係を高める効果もあります。
たんに、「楽しかった」という感想だけで終えるものではなく、今後の児童生徒の話し合いを活発にできるかという授業者としての次の指導のあり方が大きく問われる分かれ道になります。
「ふりかえり」は、児童生徒がまず自分の学び「何が今日の授業でわかったか」「自分は何ができるようになったか」を考えます。
でも、それで終わるのではなく、まわりの友だちとの関係を意識させる必要があります。
「友だちのよかったと思うところ」「その友だちをみて、自分はどう思ったか」「自分はどうしていきたいか」と進め、最後は自分につなげます。
もし、ふりかえりとしてワークシートを使ったのなら、授業者がそれを回収して、一通りチェックするだけで終わらせないのです。
要所で、「Aさんは、Bさんの発表を『いいね』と言っていたけど、何がよかったのか、もう少しくわしく説明してください」とかして、深堀します。
また、「Cさんは、Dさんの意見を聞いてうなずいていたけど、なにがよかったのかな」というようにCに尋ねます。
このように、授業者が、児童生徒の感想を、他の児童生徒とつなぐことで深めていくと、具体的になり、その子ならではの表現が出てきます。
子どもは授業者が思う以上に、いろいろな視点や発想を発揮したり、本質を突く意見や感想を言うものです。
「へー、ほかの子はこんなことを考えているんだ」とか「○○さんの意見を聞いて、納得したから、わたしの意見を変えよう」というように、考えを深めていくことにもなります。
このような「ふりかえり」を繰り返していくにつれ、子どもの発表や発言は鍛えられていきます。そして学び合いの関係のある学習集団が育ってきます。
個々の子どもは、自分の考えを伝えるにはどんな言葉を使うといいかなど、言葉の大切さを意識するようになります。
頭だけで得た言葉が、自分のなかに内面化され、自分の言葉としていきていくようになります。
したがって、授業のなかでの「ふりかえり」はたいへん重要で、これがないと子どもは「学びっぱなし」で終わってしまいます。
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