箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

温かい関係は残る

2020年10月03日 06時48分00秒 | 教育・子育てあれこれ

おじいちゃん・おばあちゃんと同居している家族でも、子どもがおじいちゃんやおばあちゃんといっしょに過ごす時間は、長いものではありません。

私の娘の場合で、祖父とは上の子が20年ちょっと、下の子が15年ほどでした。

その中でも、子どもが大きくなるにつれて、だんだんおじいちゃん・おばあちゃんに甘えなくなります。

だけど、小さいときに「甘えさせてくれた」「かわいがってくれた」という温かい関係は消えることなく、残ります。

うちの子は二人とも、おじいちゃん・おばあちゃんに、ほんとうにかわいがってもらいました。

だから、おじいちゃんが亡くなったときには、その思い出を告別式で涙ながら読みました。

また、おばあちゃんの足腰が弱り、車いすの生活になったときには、イヤな顔一つせず快く押したりしてくれます。


それは、幼いころ、おじいちゃん・おばあちゃんに同じようにしてもらったからです。

上の子も、下の子も、ベビーカーに乗せて押してもらい、地域の公民館から自宅までの道を一緒に帰ったのです。

ピアノ教室に、暑い日も寒い日も、雨の日も風の強い日も、電車に乗って連れていき、連れて帰ってくれました。


子どもは大きくなっても、かわいがってくれたことはちゃんと覚えているのです。わたしはそう思います。

祖父母は、親にできないことをしてくれる人です。
愛情を惜しげなく与え、慈しんでくれる人です。

子育てで、祖父母の助けを借りることができる環境にある場合は、ぜひ愛情をもらえばいいと思います。



大学授業のいま

2020年10月02日 08時11分00秒 | 教育・子育てあれこれ
8月25日ののブログでは「どこいった キャンパスライフ」を書きました。

新型コロナウイルス感染防止のため、大学が対面式授業を行わず、ほぼすべての授業をオンラインで遠隔で行っていることについて書きました。

その後、各大学は後期の授業に入っていますので、前回の続編としてこのブログで書きます。

小中高の学校が、6月から授業を再開して、児童生徒は学校に登校して授業を受けていましたが、多くの大学は遠隔授業を基本にしてきました。

その後、9月後半に後期日程が始まりました。後期からは、ほぼすべての大学が対面授業を行います。ただし、その対面授業はすべての授業についてではなく、遠隔授業との併用となっています。

文部科学省の調査を引用します。後期からはすべての授業を対面式で行う大学は、ほぼ2割にとどまります。
(参照:ブログのカバー写真:遠隔授業と対面授業を併用する大学を対象に後期の見通しを8月25日から9月11日の時点で調査したもの)

大学は学生の数が多く、行動範囲が広いことから感染のリスクが大きいという事情があります。

もしクラスターが発生したらたいへんなことになるという理由で、対面授業を併用するとはいえ、それは実験やゼミなどの一部だけにとどまるのが実情です。

感染リスクの高いトイレ、学食、図書館では飛沫対策が迫られますが、今回私立大学には施設改修費のための予算措置がありませんでした。

また、国から私立大に支給される補助金は、学生1人あたり国立大の約13分の1しかありません。

私立大学運営のための経費は授業料に大きく依存しているのが実情です。

教室で学生間の距離をあけるには、受講学生数を減らさなければなりません。でも、学生を分散させると教室が足りなくなります。

そのような事情で、対面授業を全面的に復活させるのは難しいわけです。

大学の教員も、遠隔授業に慣れてきました。これで、授業が何とかできるならいたしかたないと考える人もいるでしょう。
むしろ、遠隔授業で十分と考えている人もいるかもしれません。

とはいえ、学生からはこんな声も上がっています。

〇 繋がらぬ ネット回線 人づきあい

〇 忘れてる 提出期限と 通学路

〇 二度寝して また二度寝しても 間に合った

〇 帰省して いない下宿に 金払う


これは、関西大学の学生が作った「コロナ川柳」です。

通学時間がかからないことを前向きにとらえている学生もいますが、遠隔授業が長く続く中で、ストレスや不安を抱えていることがわかります。

関西大学では、感染拡大防止策を行った上で、大規模講義を除いて原則として対面式に切り替えています。

困難な点はいろいろとありますが、対面と遠隔を組み合わせて、一つの授業を対面と遠隔の同時で行うとか、どちらを受講するかは学生がきめることができるとか、日による入れ替え制をとるとか、大学関係者の工夫が必要なのだと考えます。

大学教育の質を下げることなく、どう維持していくかがウイズコロナ時代の課題であると思います。

(本文は、毎日新聞の10月1日号と9月25日号の記事を参照せてもらいました。)


前向きに対話できる学校組織 

2020年10月01日 08時03分00秒 | 教育・子育てあれこれ


今回の新型コロナウイルス感染拡大に関して、学校教育のあり方を書いてみます。

この感染症対策は、国(文部科学省)→都道府県(教育委員会)→市町村(教育委員会)というように、行政から順番に方針が伝達されていきます。

そうなると、学校はその方針に従うという図式にならざるをえません。

そして、学校教育の最前線では教師と児童生徒が、その方針を受けて日々の学校生活を繰り広げていくことになるのです。

今までに経験したことのないウイルスであるため、仕方のないことですが、伝わってくる方針は変更しやすいという面があります。

そこで現場の教師は右往左往することになり、疲れがたまってきます。

学校が自治体の意向に翻弄されている面は確かにあります。

全国的な傾向として、上からの方針の受けとり方に対して、近年、学校はかなり従順な組織になってきています。

新型コロナウイルス感染予防は、人の命にかかわることですので、行政には的確なかじ取りと適切な判断が求められます。

ただ、対策や施策を進めることで、児童生徒に向き合う教員のモチベ―ションに影響するのは心配です。

もちろん学校の教員も学校という組織の人間です。

上から「こうしなさい」と伝達されてくるものを何でもかんでも否定するのではありません。

でも、その指示や命令に、口を挟む余地がないことに違和感を感じているのです。

新型コロナ対策や学力の保障に関しては、自治体の指示が通常よりも強く押し出されることがあり、個々の学校の判断で動くことは難しい面はあります。

でも、最前線に構える教員たちが受動的にならず、能動的に取り組む必要があります。

学校の中で話し合いをして、前向きな態度で、児童生徒のためにこうしていこうという対話のできる教職員集団でないと、子どもにとってのプラスにはならないことは確かです。