箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

HOMEは人によって異なる

2020年10月08日 08時09分00秒 | 教育・子育てあれこれ


学校教育の関係者としては、児童生徒を学校教育で育んでいくとき、その子の家庭環境が大きな意味や影響をもつことを実感します。

家庭で安心できる家族関係に育まれてきた子は、学校でも人への信頼感が高く、友だち関係も良好で、学習にも前向きに取り組みます。

しんどい家庭の子は、学校生活のさまざまな面で課題を示すことが多いと考えています。


さて、家庭は英語でhome(ホーム)と言います。

それに対して、家という建物自体は、house (ハウス)と言います。

野宿生活をする人、いわゆるホームレスと言われる人には、ホームがありません。

それはたんに住む家がないという意味の社会問題であるだけでなく、ホッとできる心の居場所に乏しく、人間関係から切り離されている状態です。



新型コロナウイルス関連で言われたステイホームのホームについても、本来の意味は心の居場所であり、戻る場所であり、それぞれの人が大事にしている場所のことです。

スポーツをしている人で野球なら球場、サッカーをしている人なら競技場、ライブをしている人ならライブ会場やホール、演劇をしている人なら劇場であり、これらは家庭ではないけれども、その人にとってのホームになり得ます。

今回の新型コロナウイルスは、その人たちからホームを奪い、一人ずつを孤立させる状況が生まれています。

定員の5割程度までしかお客さんを入れることができない状況では採算が取れないので、入場料を値上げするなら、富裕層の人しか入れなくなり利益が上がらない。

スポーツ選手やアーティスト、歌手、俳優は、会社勤めのサラリーマンとは違う文化や価値観の中で生きています。

このたいへんな状況に共感できるのは、自分とは違う文化や価値観で生きている人に思いを寄せることができる大勢の人びとでなければなりません。