箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

 受験生のいる家庭では

2021年02月03日 08時26分00秒 | 教育・子育てあれこれ


今は受験シーズンです。京阪神では、ちょうど今が私立大学の一般入試です。また2月10日ごろが私立高校の入試です。

ふつうでも、受験生のいる家庭は不安や緊張が増し、家族は気をつかいます。

くわえて、今年は新型コロナウイルスの蔓延で、受験生のストレスが大きくなることも懸念されます。

新型コロナウイルスには、誰もが感染する可能性があります。

身近に感染者がいたとしても責めることなく、感染症から自分を守る行動を心がけ、実行する必要があります。

受験生のいる家庭では、家庭内の感染防止策を徹底すべきでしょう。というのは、家族は寝食を共にし、接触する時間が長いからです。

あらためて、手洗い、手指の消毒を励行しましょう。

ドアノブやテーブルはよく触ります。飛沫が飛びやすかったりする場所の消毒も徹底したいところです。

また、子ども部屋はとくに受験のための学習で長い時間子どもがいるので、換気もこまめにします。

家庭内で家族どうしが話すときもマスクをつけた方がよいでしょう。

受験する子どもは可能な限り自分の部屋にいて、食事も一人で食べるなどして、ほかの家族と時間をずらす工夫をしてもいいでしょう。

また、食事にも気をつけ、エネルギーと栄養素をバランスよく摂るのが望ましいです。

主食、主菜、副菜と乳製品を適度な量食べるのがいいようです。そうすると、免疫力が発揮しやすいからです。

感染防止対策と食事に注意を払うことが、受験生をもつ家庭の心得です。

心の中の鬼に抗う

2021年02月02日 08時01分00秒 | 教育・子育てあれこれ


今年の節分は2月2日です。「鬼は外、福は内」について、改めて感じることがありましたので、ご紹介します。

先日、映画「鬼滅の刃 無限列車編」を観ました。

私自身はマンガの原作を読んだことがなく、竈門炭次郎が家族のかたき討ちで鬼を退治するというあらすじぐらいしか知りませんでした。

大ヒットしている映画なので、一度は観ておこう、ちょっと気になるという好奇心がきっかけでした。

でも、鑑賞しているうちに、惹きつけられていき、夢中になって観ていました。

好奇心が感動に変わっていきました。

なぜ惹きつけられたのかと、あとで考えると、映画の中には人がどう生きるべきかという真実が散りばめられていたからです。

その真実を、私たちはふだん忘れています。

たとえば、「胸を張って生きろ。己の弱さやふがいなさにどれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ・・・。」というセリフが出てきます。




私は教職で自分に対して「心を燃やせ」と命じていたことを思い、次に「ハートは熱く、頭はクールに」という言葉が蘇ってきたのでした。

さらに、学校教育で大切にする普遍的な価値「友情」「努力」が、この作品のテーマになっていました。

今の時代、このような価値は忘れられて、「そんなに熱くならなくても・・・」と語られる場合が多いのですが、じつは時代に左右されない人間の根源的な価値であるがゆえに、子どもから大人までが共鳴します。

この映画が支持を得るのは、そのあたりに理由があるのではないかと思いました。

かといって、単純な「勧善懲悪のおすすめ」でもないのです。

じつは人はみな心の中に「鬼」をもっている。それは非常時に発現するのです。

新型コロナウイルスにかかわっての偏見や差別がそうであるように。

鬼は、人間の誰もが抱く負の感情である恨みやねたみ・憎悪の象徴を体現していました。

映画の中で鬼は、煉獄杏寿郎との格闘中に何度も何度も煉獄に「鬼にならないか」と誘いかけます。

でも彼はきっぱりと「俺はいかなる理由があろうと鬼にはならない」と明確に言い放ちます。

彼のぜったいに揺るがない信念が、人がどう生きるかという方向を示していました。

人びとは、本音の部分でこの生き方に共感を覚えたのでないかと、私は感じました。

このような事情で、この作品が多くの人に支持されるのではないかと感じた次第です。

休校で大きな影響 障害のある子

2021年02月01日 08時15分00秒 | 教育・子育てあれこれ


子どもにとって、学校という存在は大きなものです。

朝起きて、身支度をして学校に向かい、夕方に下校して帰宅します。

子どもの生活は学校を軸として構成され、生活のリズムや生活習慣が形成されます。

また、学校は学力を身につけるだけでなく、他者との豊かな人間関係を育み、自己を成長させる場でもあります。

昨年の全国一斉の休校要請を聞いたとき、わたしは驚くと同時に、学校になじみにくい子や障害のある子どもへの影響が気になりました。

障害のある子は、公立学校の特別支援学級か特別支援学校に通っています。

じっさい、障害のある子どもへの影響は大きく、それは学校再開後にも現れました。

では、どんな影響があったのでしょうか。

・テレビやインターネットに多くの時間を費やすようになった。
・友だちと会う機会が減り、家から出たがらなくなった。
・ずっと家にいるので、筋力が弱まり、生活でできていたことができなくなった。
・急に叫ぶなどパニックを起こしたことがあった。
・ストレスで帯状疱疹が出た。
・頭を壁にぶつけるなどの自傷行為が増えた。
・大きな音に過敏に反応するようになった。
・本人にあわせた学校からの学習課題が最初はなかった。
・学校が再開しても、分散登校や午後からは帰宅するなど、いつもの生活リズムと違ったので、子どもにとっては大きなとまどいだった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

このような声が、家族から出ているのが全国的な状況です。

障害のある児童生徒は、環境のちょっとした変化にも影響を受けやすいのに、長期の一斉休校は、心身ともに深いダメージを与えたのでした。

さらに、保護者にも影響が出ました。子どもの養育のため仕事をやめなければならなかったり、収入が減った場合もありました。

親が「自分が倒れることができない」と意識が強く、気持ちのゆとりがなくなったなどの声が寄せられました。


「全国一斉に学校・特別支援学校に休校を要請します」とアナウンスしたとき、障害のある児童生徒にどれほどの影響が及ぶかという視点が念頭にあったでしょうか。

学校は教育の機関でもあり、ある意味で安定した生活を実現しょうとする福祉の機関という側面もあるのです。

簡単に休校にせず、みんなが安心して学校に来ることができる体制をどう作るかという視点での対応に傾注するべきでした。

それが、障害をもつ子をはじめとして、すべての子が安心して過ごす生活につながるのです。

なぜなら、障害をもつ子がかかえる問題は、すべての子にかかわる問題が集中的に現れたものだからです。