今年の節分は2月2日です。「鬼は外、福は内」について、改めて感じることがありましたので、ご紹介します。
先日、映画「鬼滅の刃 無限列車編」を観ました。
私自身はマンガの原作を読んだことがなく、竈門炭次郎が家族のかたき討ちで鬼を退治するというあらすじぐらいしか知りませんでした。
大ヒットしている映画なので、一度は観ておこう、ちょっと気になるという好奇心がきっかけでした。
でも、鑑賞しているうちに、惹きつけられていき、夢中になって観ていました。
好奇心が感動に変わっていきました。
なぜ惹きつけられたのかと、あとで考えると、映画の中には人がどう生きるべきかという真実が散りばめられていたからです。
その真実を、私たちはふだん忘れています。
たとえば、「胸を張って生きろ。己の弱さやふがいなさにどれだけ打ちのめされようと、心を燃やせ・・・。」というセリフが出てきます。
私は教職で自分に対して「心を燃やせ」と命じていたことを思い、次に「ハートは熱く、頭はクールに」という言葉が蘇ってきたのでした。
さらに、学校教育で大切にする普遍的な価値「友情」「努力」が、この作品のテーマになっていました。
今の時代、このような価値は忘れられて、「そんなに熱くならなくても・・・」と語られる場合が多いのですが、じつは時代に左右されない人間の根源的な価値であるがゆえに、子どもから大人までが共鳴します。
この映画が支持を得るのは、そのあたりに理由があるのではないかと思いました。
かといって、単純な「勧善懲悪のおすすめ」でもないのです。
じつは人はみな心の中に「鬼」をもっている。それは非常時に発現するのです。
新型コロナウイルスにかかわっての偏見や差別がそうであるように。
鬼は、人間の誰もが抱く負の感情である恨みやねたみ・憎悪の象徴を体現していました。
映画の中で鬼は、煉獄杏寿郎との格闘中に何度も何度も煉獄に「鬼にならないか」と誘いかけます。
でも彼はきっぱりと「俺はいかなる理由があろうと鬼にはならない」と明確に言い放ちます。
彼のぜったいに揺るがない信念が、人がどう生きるかという方向を示していました。
人びとは、本音の部分でこの生き方に共感を覚えたのでないかと、私は感じました。
このような事情で、この作品が多くの人に支持されるのではないかと感じた次第です。