今日の新聞夕刊に、気になる詩を見つけたので、ご紹介します。
キンセン
「キンセンに触れたのよ」
とおばあちゃんは繰り返す
「キンセンって何よ?」と私は訊(き)く
おばあちゃんは答えない
じゃなくて答えられない ぼけてるから
じゃなくて認知症だから
辞書ひいてみた 金銭じゃなくて琴線だった
心の琴が鳴ったんだ 共鳴したんだ
いつ? どこで? 何が 誰が触れたの?
おばあちゃんは夢見るようにほほえむだけ
ひとりでご飯が食べられなくなっても
ここがどこか分からなくなっても
自分の名前を忘れてしまっても
おばあちゃんの心は健在
私には見えないところで
いろんな人たちに会っている
きれいな景色を見ている
思い出の中の音楽を聴いている
(谷川俊太郎 作) 2008年9月5日、朝日新聞夕刊掲載
琴線=心の奥深くにある、物事に感動・共鳴しやすい感情を琴の糸に例えていった語。
ところで、最近琴線に触れるような事・言葉に出会えたかしら?
キンセン
「キンセンに触れたのよ」
とおばあちゃんは繰り返す
「キンセンって何よ?」と私は訊(き)く
おばあちゃんは答えない
じゃなくて答えられない ぼけてるから
じゃなくて認知症だから
辞書ひいてみた 金銭じゃなくて琴線だった
心の琴が鳴ったんだ 共鳴したんだ
いつ? どこで? 何が 誰が触れたの?
おばあちゃんは夢見るようにほほえむだけ
ひとりでご飯が食べられなくなっても
ここがどこか分からなくなっても
自分の名前を忘れてしまっても
おばあちゃんの心は健在
私には見えないところで
いろんな人たちに会っている
きれいな景色を見ている
思い出の中の音楽を聴いている
(谷川俊太郎 作) 2008年9月5日、朝日新聞夕刊掲載
琴線=心の奥深くにある、物事に感動・共鳴しやすい感情を琴の糸に例えていった語。
ところで、最近琴線に触れるような事・言葉に出会えたかしら?