ちび庭日記

借り家住まいのちいさな庭の植物達を中心に、身近に感じたことを載せてゆければいいな~と思っています…(^_^)。

こんにちは!はなやです!

2005年05月31日 | 京都
昨日、今日と園芸やさんは「花売り日」でした。手に頼まれている数の仏花や榊や荒神松を握りしめ、いくつもの露地を抜け、町家の玄関を開けてさらに奥へ。土間をくぐって一番奥の戸の前で、「おおきにい!はなやですう~!」と叫ぶ。何回か叫ぶと、さらに奥から「は~い、おいくらでしたっけ。」と声が聞こえて、頼まれていた花の金額を伝えると、家の人が出てこられてお花を渡し、代金を受け取る。

たまに耳の遠いおばあさんだったり、足の悪いおじいさんだったり、奥さんが掃除機の音で全然気がつかれなかったりして、出てこられるまで何回も叫んでは待ってたりする。その間しげしげと家の中を見回してみたりして。
あまりの古さに軒が曲がっている家、立て付けの悪い戸があるかと思えば、柱の色も美しく、実に端正な京格子のお家もあったりする。玄関の戸を開けると、外からは想像も付かないような仕事場だったり、立派なつい立ての向こうにしっとりと緑の光るお庭が見えたり。さらに奥にはおくどさん(かまどのある台所)の細長い土間が。おくどさんの天井はたかく、外からの光に梁が黒光りしています。

染物屋さん、漬け物屋さん、炭屋さんに扇子屋さん、鉈屋さん、印刷屋さんに織物屋さん、刷毛屋さん、袈裟屋さん…。御簾屋さんでは、おじいさんが一本一本葦を丁寧に編み込んでおられました。手仕事の美しさ。ず~ッと眺めていたかったのですが、残念ながらすぐにおにいさんがお代をくださったのでそそくさと出てきました。それにしても、なんだか想像も付かないようなお仕事があるもんですね。金襴緞子屋さん、装束屋さん、結納屋さん、代書屋さんなんてのもありました。とある昔ながらの古い料亭では、板前さんが所作も爽やかにじっくりと卵焼きを作っていらっしゃいました。とても折り目正しくあいさつをくださり、「奥へお願いします」といわれて入っていくと、薄暗い台所の上がり端の前にはイチョウの大木の幹が。土間からすくっと生えて、しめ縄を巻いてそのままくり抜かれた屋根へと伸びています。初めはきっとここはお庭だったんでしょうね。

錦市場のそばのお医者さんのお宅では、待ち合い室と診療室の横をくぐり抜けて奥へ入っていくと、そこには坪庭が。片側に縁が巡らされ、上を見上げると、隣のビルの壁が見えます。小さな流れのある池が作られており、亀と金魚がのんびり。簾にシノブとカンパニュラの鉢が下げられ、縁の向こうの部屋には、裏庭と倉が見えています。風鈴が鳴って、なんともゆったりとした雰囲気。ここでぼお~っとしていたいなあ~、と思いながらも名残惜し気に次のお届け先へと出てきたのでした。

お留守の時は、昔ながらの木で作った郵便受けに花をそっと置いてきたり、玄関脇のバケツに水を汲んで入れておいたり。で、次回お代をいただきます。でも、「あらあ、えらい今日は早かったやん。」「待ってたんよお。この封筒に代金入っとるし。ええお花やねえ。」「ちょうどよかったわ。いま掃除したとこやったんよ。」と言われるとやっぱり嬉しい。うちの社長が「手間ばっかりやけど伝統やし、ばあちゃん達が気になってやめられへんねん。」というのも分かる気がします。小さい頃からこの仕事をやっている社長は、たまにお話し相手になってなかなか戻ってこないことも。

こうやって、他にもいろんな人たちが「お届け」に1軒1軒を回る京都という街は、お年寄りの方にとってはちょっとばかり住みやすいのかもしれませんね。

☆今日のちび庭気温 18~24℃ 曇り時々晴れ 過ごしやすい日でしたね。(^_^) 
5/30 16~28℃ かんかん照りでしたけど、昼から曇ってきました。車に乗ってると暑い!