この付近は金木犀が多いらしい、住まいから会社まで殆ど切れる事無く香りが漂っている、子供の頃畑の隅に大きな金木犀の木が有って深緑の葉の間に鈍い黄色の花が粉の様に咲き出すと馥郁とした香りがかなり遠くまで漂ってくる、女房も「金木犀の木は大きな木だという思い込みが有るので香りがするとつい上の方を見てしまう」と言っていたがこの付近の木は塀の上に少し出る程度の大きさが多い、仕事帰りに街路灯の薄明りの中にこの香りが漂ってくると幸せな気分になる、昔花の咲いた金木犀の小枝を切ってきて玄関に置いたことが有るが此れは少々匂いが強すぎた、やはりこの香りは遠くから漂ってくるのが一番の様だ。この香りのする酒がある「桂花陳酒」と言う酒で中華系の酒を扱う永昌源と言う所のものが良く見られる、あまり甘い酒は好きではないがこの酒は時々飲んだ、香りもそれ程でしゃばらず、甘さもさほど強くない、薄い琥珀色で中華料理の強い味には少し負けてしまうのではないかと思う酒だ、摘みも無くぼんやりとただ飲むのに良い、香りの高い酒は結構有るが此れとズブロッカが好きだ、甘い酒ではないはずだと思うが梅酒の市販品はやたらに甘い、すっきりとしたと言う梅酒を買って見たがかなりどろりとした感じが否めない、20年以上前にある酒屋さんしか置いていない梅酒があった、濃い緑色の細長い四角の瓶に入っていて此れは全く嫌な甘さが無くある時突然見なくなるまで必ず家に置いていた、名前は忘れたが取り扱い商社が三菱商事だったのでそれが意外だったのでその事だけは憶えている、若し未だ有るなら是非飲んで見たいと思う酒だ