梟の独り言

色々考える、しかし直ぐ忘れてしまう、書き留めておくには重過ぎる、徒然に思い付きを書いて置こうとはじめる

映画の話日比谷映画館街

2011-11-30 17:31:56 | 雑記
19歳から7年と少し東宝の子会社に勤務していた、と言っても映画とは全く関係は無い、映画館の中で売られているアイスクリームを作る会社で東宝はレストランや喫茶店も随分持っていたので其処で使うアイスクリームも作っていて各劇場やレストランに配達する仕事である。
そのお陰でこの間東宝系の映画は全てただで見る事が出来た、無論休みの日に只で見られる訳ではないがもぎりさんと顔見知りなので大抵入れてくれる。
それ以上に劇場の最中アイスは休憩時間に合わせて売り子さんが来るので上映中はかなり待ち時間がある、その時間を利用して空いている後ろの席で見ていた、しかし勤務中なので長時間見ることは出来ない、配達の時間を調整して幾つもの映画を細切れに見て行くのだ、
東宝映画館は日比谷の映画館街と言われていた通りに面して5軒の映画館と2つの劇場、それに演芸場が有った、
洋画の多くが此処でロードショー上映をする、今とは比べ物にならないロングランが有った、
東宝でかかったもので一番ロングランだったのは恐らく「チキチキバンバン」だったのではないだろうか?確かスカラ座だったと思うが若しかしたら同じ劇場にかかった「ドリトル先生不思議な旅」だったかも知れない、両方とも1年超えのロングだった、
この劇場に掛かるのはこう言う種類の家族で見られる映画が多かった気がするが「ポセイドンアドベンチャー」は此処だった気がする、有楽だったかも知れない。
有楽座も同じ様なタイプの映画がかかったが「キャバレー」や「マイフェアレディ」の様なミュージカルの様な映画が主だった、
入り口の丸い塔が印象的な日比谷映画は「007シリーズ」が掛かる映画館で今のアメリカ映画の原型の様な映画が多かった、「タワーリングインフェルノ」は此処だったような気がする、
有楽座の隣は千代田劇場で本体東宝映画の封切館だったが作品は今では良く覚えていない、確か黒澤監督のカラー最初だったと思うが「地獄変」と言う映画が掛かったはずだが色が派手でその印象しかない、配役に東映の中村錦之助が出ていて燃え上がる牛車の中の娘は内藤洋子だった、
路地の反対側は「東京宝塚劇場」で此れが「東宝」の大元だ、3階まで客席で紅白歌合戦も此処を使う事があった、5階がスカラ座でその上は「東宝演芸場」だった、このビルのエレベーターガールに居たのが研ナオコだったらしい、
同じビルの背中合わせにある劇場は日生劇場で此処は東宝とは関係が無い、
路地を抜けると向い側が帝国ホテルでその頃は未だ今明治村に建っているレンガ作りの旧ホテルだった、
右に曲がるとの突き当りが日比谷公園で左に曲がると銀座の柳で知られるみゆき通りだ、その曲がった所の地下がみゆき座で小ぶりなのだが変った映画が掛かる、フランス映画もアランドロンが出る映画は此処がメインだった、
「世にも不思議な物語」が印象に残っている、今テレビでやっているのは此れのカバーだろう、映画は3話のオムニバスだったがそのあたりも同じだ。
この建物の3階4階が芸術座で森光子の「女の一生」も此処がはじめだった気がする、「三婆」だったかも知れない」
この職場のお陰で私の映画好きは更に磨きが掛かってしまった、新宿のコマ東宝劇場(コマトウと呼んだ)や渋谷宝塚で「イチゴ白書」を見に行ったが今では其の映画の思い出をモチーフにしたバンバンの「イチゴ白書をもう一度」が思い切り懐メロになったのだから歳を取ったものだ、
しかしあの頃の映画はテレビが有っても金を払って見に行く価値があった気がする、今一度映画に溺れる様に見たいものだ