私には姉が二人いる、そのうち9歳離れた上の姉が他界したので正確には“居た”になる
9月の初めころ甥から「全く食事がとれなくなった、点滴で持たせているが長くは無い」と電話を受けていたので心づもりは出来ていた、
9歳も歳が離れているうえに中学をおりてすぐ就職していったので一緒に暮らしたと言う記憶が余りない、
故郷に家がなくなってから時々顔を出しても泊まると言う事は無かったので付合いという程の時間もなくやはり姉弟と言う感じも薄い、
薄情の様だがおそらく世間で感じる「姉が死んだ」と言う感情とは違う気がする、
ただ今まで多くの葬式に出たが初めて涙が出た、
全く予期しない感情で若干戸惑ったのだが意外と穏やかな死顔を見ていたら不覚にも涙が出てしまった、
花を入れて「最後のお別れですので」と言われたがもう一度顔を見る勇気が無かったのは不覚である、
骨になる間1時間位甥と話をした、たぶん落ち着いて話をしたの初めてだったと思う、
最初に出たのは「やっと終わった」と言う言葉だった、
無論長患いの負担が終えたと言う意味もあっただろうがその後の話からするとそれだけの事ではなかったようだ、
姉は生まれつき膵臓に病を持っていて中学をおりて鷲津の紡績に就職したが短期間で辞めてその後は浜松で水商売に勤めある時から男と同棲を始めた、
この頃の事は下の姉から聞いて知っていたがその男が所謂半端物で今で言うはんぐれだが当時はそんな連中が結構いた、
犯罪に手を染めるとまでは行かないがまっとうな仕事を続けることが出来ず単発で色んな仕事で小銭を稼ぎ、入ると飲んでしまうと言うタイプでいつの間にか姉のところに転がり込んでいた、
甥はこの男の子供で籍は入っていなかったが認知はされていた様だ、
その事はこの日初めて本人から聞いた、「突然遺産相続の連絡が有った」と言うので初めて知ったのだが姉からは聞いていなかった
この男と別れて今度は正式に籍を入れたのだが甥だけ我が家の姓を名乗っていたのでたぶんとは思っていたが、彼は大学をおりてすぐに結婚し相手の戸籍に入ってしまった、
今度の相手は本職である、甥曰く「そういう男しか好きになれないと言うのが居る」と言う通り半グレから今度は一家を構えるところで姉さんと呼ばれるようになったわけだが
甥にとってはそれが重い負担になり、反発の動機になったらしい、
これもその時初めて知ったのだが「中学を卒業したらアパートを借りて働きながら夜学をおり、大学を卒業した、親からは一銭も貰っていない」と言う、
親からは完全に縁を切った暮らしをしていたのだが仮にも親だ、病気になればそういう訳にはいかない、
「やっと終わった」と言うのはこの全てのしがらみが終えたと言う意味だったのだろう、
「お疲れさまでした、また何かあったら連絡して」と言ったらシニカルに笑いながら「まあ、無いと思うけどね」と言った
は私も含めて親の系列とは「やっと終わった」と言う意味だと改めて納得した、
女房も「もうこれで連絡は無いよね」と言う、「お父さんが死んだら連絡する?」と言うので「葬儀を終えたら年賀遠慮の葉書でいいよ」と言っておいた、
全く知らせないのも我々世代では義理に掛けるが葬式に来るか悩ませる事もあるまい
9月の初めころ甥から「全く食事がとれなくなった、点滴で持たせているが長くは無い」と電話を受けていたので心づもりは出来ていた、
9歳も歳が離れているうえに中学をおりてすぐ就職していったので一緒に暮らしたと言う記憶が余りない、
故郷に家がなくなってから時々顔を出しても泊まると言う事は無かったので付合いという程の時間もなくやはり姉弟と言う感じも薄い、
薄情の様だがおそらく世間で感じる「姉が死んだ」と言う感情とは違う気がする、
ただ今まで多くの葬式に出たが初めて涙が出た、
全く予期しない感情で若干戸惑ったのだが意外と穏やかな死顔を見ていたら不覚にも涙が出てしまった、
花を入れて「最後のお別れですので」と言われたがもう一度顔を見る勇気が無かったのは不覚である、
骨になる間1時間位甥と話をした、たぶん落ち着いて話をしたの初めてだったと思う、
最初に出たのは「やっと終わった」と言う言葉だった、
無論長患いの負担が終えたと言う意味もあっただろうがその後の話からするとそれだけの事ではなかったようだ、
姉は生まれつき膵臓に病を持っていて中学をおりて鷲津の紡績に就職したが短期間で辞めてその後は浜松で水商売に勤めある時から男と同棲を始めた、
この頃の事は下の姉から聞いて知っていたがその男が所謂半端物で今で言うはんぐれだが当時はそんな連中が結構いた、
犯罪に手を染めるとまでは行かないがまっとうな仕事を続けることが出来ず単発で色んな仕事で小銭を稼ぎ、入ると飲んでしまうと言うタイプでいつの間にか姉のところに転がり込んでいた、
甥はこの男の子供で籍は入っていなかったが認知はされていた様だ、
その事はこの日初めて本人から聞いた、「突然遺産相続の連絡が有った」と言うので初めて知ったのだが姉からは聞いていなかった
この男と別れて今度は正式に籍を入れたのだが甥だけ我が家の姓を名乗っていたのでたぶんとは思っていたが、彼は大学をおりてすぐに結婚し相手の戸籍に入ってしまった、
今度の相手は本職である、甥曰く「そういう男しか好きになれないと言うのが居る」と言う通り半グレから今度は一家を構えるところで姉さんと呼ばれるようになったわけだが
甥にとってはそれが重い負担になり、反発の動機になったらしい、
これもその時初めて知ったのだが「中学を卒業したらアパートを借りて働きながら夜学をおり、大学を卒業した、親からは一銭も貰っていない」と言う、
親からは完全に縁を切った暮らしをしていたのだが仮にも親だ、病気になればそういう訳にはいかない、
「やっと終わった」と言うのはこの全てのしがらみが終えたと言う意味だったのだろう、
「お疲れさまでした、また何かあったら連絡して」と言ったらシニカルに笑いながら「まあ、無いと思うけどね」と言った
は私も含めて親の系列とは「やっと終わった」と言う意味だと改めて納得した、
女房も「もうこれで連絡は無いよね」と言う、「お父さんが死んだら連絡する?」と言うので「葬儀を終えたら年賀遠慮の葉書でいいよ」と言っておいた、
全く知らせないのも我々世代では義理に掛けるが葬式に来るか悩ませる事もあるまい