河口公男の絵画:元国立西洋美術館保存修復研究員の絵画への理解はどの様なものだったか?

油彩画の修復家として、専門は北方ルネッサンス絵画、特に初期フランドル絵画を学んできた経験の集大成を試みる

桜散る

2022-04-10 11:30:16 | 絵画

「桜散る」と東京芸大入試を落ちた時、高円寺の電話局から親あての電報を打った。1970年3月であった。まさに桜の散る時期に発明された電報用語はそれとなく予め誰かが教えていた表現だった。「サクラチル、ライネンモタノム」と書き送った。

受け付けた女性はにゃっと笑うから、私も笑った。この時代」芸大の油絵科には現役生は50人中1名と決まっていた。この時の倍率は44倍で、半数が現役、次が一浪、二浪出、三浪以上は極端に少なかった。現役では落ちて当たり前と思っていたから笑っていられたのだ。

今、浜田の近くの山々は山桜が満開で、これほどの山桜が自然林として生えていると、いつも気づかされる。日本人は桜が好きだと言えるのは、庭先や川沿いに満開の桜を見ることが出来るからだ。先週、猫たちを放り出して岩国の実家に帰って用事を済ませた。益田から高津川沿線を上り、六日市から錦川を下る沿線は桜で満開だった。

実は我が家の横を流れる川沿いに両親が定年後の楽しみとして桜を20本植えていた。久しぶりに満開の桜を見た。母は売茶流を教えていたので、桜の花の下に赤い毛氈を敷き、茶会をやっていた写真があった。今やその桜の木の下は雑草で覆われて隔世の感あり。

我が家の敷地は留守をすると境が動いて盗まれる。田舎ではこんなことは当たり前のようだ。法治認識がないのはこの国のレベルでもある。一つ案件があって岩国法務局へ出向いて「土地登記地図と謄本」を求めた。隣の土地の持ち主の女性は返すと言ってくれているのに、旦那がごねるので証拠の書類を集めている。これで半日費やす。つまらぬことだ。

留守が長いと井戸水が濁るが、どうやら3年前の西日本水害で家の前の川が氾濫して、我が家の田んぼに砂が入ったが、それ以外に近所の井戸に濁りが生じて、県の方から水質検査の会社が調査をしていくれていた。いつも家に入れないので予約をして今回も二度目の調査をしてもらった。これで半日。

その午後、いとこに会った。私が死んだら相続はそうするかと相談を持ち掛けた。簡単なことではないので、開いても迷惑だったであろう。

翌日、近所の野良猫にエサを与えた。たまにしか帰らない私の車があるのを見て、必ず我が家に立ち寄るのだ。いとおしく感じるので、出来る限りのエサと鳥の唐揚げを置いてきた。

浜田に帰る前に畑に植えた果樹の木に肥しと水を撒いた。悲しいことにプルーンが2本、オリーブが1本、ブドウが2本、ラズベリーが1本枯れてしまった。ブドウはしっかりと芽が出ているのを購入すべきで、この時期に購入すべきであった。

三泊四日で用事を済ませたが、桜は散り始めた。来月また出かけて、水質検査の続きと土地問題を解決しておきたい。また別のいとこが錦帯橋の側のセブンイレブンを二軒経営しているので、再会するのも楽しみだ。