少し前の話題ですが先月の23日、上野の東京芸術大学美術館で開催されていた『興福寺創建1300年記念 国宝興福寺仏頭展』を見に行ってきた。
奈良の興福寺は『南都六宗』と呼ばれる仏教宗派のうち「外界のものはみな空(くう)であり、一切の存在は唯、自己の心(識)の表れに過ぎない」とみる唯識思想を中心におく法相宗の古刹である。4世紀のインドに起源を持つ仏教思想だが、『法相八祖』と呼ばれる8人の歴代祖師の中に『西遊記』の三蔵法師のモデルとして有名な玄奘(603-664)の名前も見られた。
週末で最終日前ということで心配していたが、想像していたほど混んではいない。比較的ゆったりと見ることができた。興福寺ゆかりの絵画、彫刻、書など全体的にかなり充実した展示となっているが、その中で特に印象に残ったのは仏法の護法神とされる2種類の『十二神将像』だった。一つめは東金堂の周囲に装飾されていたという『国宝板彫十二神将像』で我が国浮彫彫刻(レリーフ)の傑作とされている。平安時代の作だが、レリーフ表現ということで写実性がおさえられているということもあってか、プリミティブでユーモラスな表情を持っていた。今までさまざまな十二神将像を見てきたが、このような像は初めてである。二つめは別の階に今展のメインとなる仏頭とともに展示されていた『国宝木造十二神将立像』でこちらは鎌倉時代に制作された立体像である。僕は学生時代から鎌倉彫刻のリアリズム表現が好きで魅かれ続けているのだが、この像は傑作である。力強い動きと迫力のある顔の表情に圧倒されてしまった。溜め息交じりに何周かしているうちに何故か像の足元が気になり見ていくと、一見すると似ている12体の履物がすべて異なることに気が付いた。ブーツ型、サンダル型等、それぞれがとても凝った形に彫られている。これも一つの発見であった。
振り返って部屋全体をボーッとながめていると存在感のある仏頭がj慈悲深い表情でみつめていた。おなごり惜しいが、この日はもう一つ美術展を見る予定で出てきたので、会場を後にした。2018年、興福寺中金堂が再建、落慶予定となっている。機会があったら再建されたお堂の採光の中で仏像群に再会してみたい。画像がトップが美術館入り口の展覧会看板。下が左から仏頭、板彫り十二神将の中・波夷羅大将、木造十二神将立像の中・伐折羅大将(いずれも展覧会図録より部分複写)。
※展覧会は先月、24日で終了しています。