長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

179. 北印旛沼・冬鳥観察記

2015-02-24 20:29:48 | 野鳥・自然

2月も20日を過ぎた。そろそろ春の気配が近づいてくる頃だ。この冬も仕事場に籠っていてほとんど野外に出ていない。以前は鳥の絵を描くための「取材」と称してしょっちゅう出かけたものである。

23日の午後、工房の近くの北印旛沼へひさびさに冬鳥の観察に行ってきた。朝のうちは晴れ間ものぞいていたのだが、午後からは今にも雨が降り出しそうな鉛色の空となっていた。「鳥の写真はうまく撮れないなぁ…」しかし贅沢は言えない。次に仕事の切れ間ができるのはいつになるかわからない。望遠鏡など野鳥観察道具を車に積んでベテランバーダーでもある連れ合いといつもの観察ポイントに向かった。

始めの観察ポイントに着くとここに居ついている大きなモモイロペリカンが出迎えてくれた。「カン太くん」というニックネームで呼ばれているのだが、近隣の温泉場の社長がゲージで飼っていたのが放されて居ついてしまったと聞いている。もう20年ほどになる。地元で内陸水面漁業を営む漁師さんたちがザコやテナガエビなどを与えて大切にかわいがってきたのだ。カン太くんに見守られながら望遠鏡をセットして沼の南部を中心に観察を始める。水面にはマガモ、ヨシガモのペアが目につくが数は少ない。カンムリカイツブリが2羽視野に入ってきた。黙って双眼鏡で沼を観察していた連れ合いが「チュウヒっ!!」と叫んだ。冬枯れ色のヨシ原上をタカの仲間のチュウヒがゆったりと舞う。僕の好きな風景である。遠い杭の上では同じくタカの仲間のミサゴが魚を捕えて食事中だ。しばらく観てから次のポイントに移動することにした。車に観察道具を積もうとしているとハヤブサの仲間のチョウゲンボウが頭上をヒラヒラと飛んだ。これで本日、猛禽類を3種確認。

車で沼の西岸のポイントに移動。実はここからが今日のお目当てとなる。事前情報で冬鳥でカモの仲間のトモエガモが3000羽以上入っているとのこと。トモエガモは主に日本海側の水辺に渡来するが太平洋側では少ない。それが北印旛沼ではここ数年多数が飛来しているのだ。原因としてここ数年間の冬期の日本海側の気象状況の厳しさがあげられている。越冬地となる水辺環境が大雪などによって荒れているのだろう。7-8年前の冬、やはり日本海側の気象が荒れた時、50羽ほどの群れが入って驚いていたが、千羽単位が渡来しているのだ。「これは地元バーダーとしてぜひ一度観ておきたい」ということになった。西岸ポイントに到着、望遠鏡を担いで土手に上がると正面の水面遠くにカモ類の大きな群れが目に入った。望遠鏡の倍率をあげて確認するとすべてトモエガモである。ほぼ沼の中央で北へとゆっくり移動し始めていた。

ポケットからカウンターを取り出して覗きながらカチカチとカウントを始める。「1000羽はいないなぁ…」カウントをし終えて打たれた数を確認すると♂♀合わせて538羽だった。15日で猟期も終わったし、そろそろ春の気配。ここから移動して分散し始めたのだろう。目当ての鳥が見られてほっとしたこともあり、ここでティータイム。土手に座って、ポットの熱いコーヒーを飲んでいるとヨシ原からこの沼の名物でサギの仲間のサンカノゴイが「ウッ、ウッ、ボォーッ」と繁殖期に出す低い声で鳴いた。鳥の世界ではもう春が始まっている。2時間弱の間に33種の野鳥を観察することができた。空が一際高く広く見える湖沼空間でしばらくのんびりしてから帰路に着いた。画像はトップがこの日の北印旛沼の風景。下が左から同じく沼風景、モモイロペリカンの「カン太くん」、沼中央で観察したトモエガモの群れ。

 

      



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1 コメント

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いつもありがとうございます。 (uccello)
2015-02-27 22:55:30
ブロガーのみなさんこんばんは。いつもお立ち寄りいただきありがとうございます。いいね!をいただいた方々、感謝します。
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