長島充-工房通信-THE STUDIO DIARY OF Mitsuru NAGASHIMA

画家・版画家、長島充のブログです。日々の創作活動や工房周辺でのできごとなどを中心に更新していきます。

348. 絵画作品『夜の天使』の制作を再開する。 

2018-11-10 17:47:23 | 絵画・素描
先月の12日、新作絵画個展が終了してからそろそろ一か月が経とうとしている。

数年間描き貯めた作品を個展で一挙に発表した後というのが、なかなか元のペースに戻れない。一度、気持ちが高揚し、心が気球のように空高く上り詰めてしまうとその高度から下りてくるのに時間がかかるのである。

気分転換に人に会ったり、映画を観たり、音楽を聴いたり、自然観察をしたり…と、いろいろ、あの手この手で気持ちの切り替えを図るのだが簡単には行かない。何か足が地面に着いていないようなフワフワとした宙ぶらりんの状態が続くのが常なのである。そしてこれもいつも行き着くところは「そうだ、新作を描こう」ということになるのである。エカキの「業」というのであろうか結局は絵を描き始めないと元の大地に不時着できないのである。

と、いうわけで先月の下旬頃より、ようやく新作絵画の制作に取りかかったのである。「まずはウォーミングアップから」ということで、今回の個展に出品しなかった未完成作品を仕上げることにした。以前ブログにも制作過程をご紹介したが、7~8割描き進めていた『夜の天使』と題した西洋の天使(エンジェル)をモチーフとした作品に加筆を始めた。
不思議なもので画面に向かって絵筆を動かし始めるとそれまでフワフワと浮ついていた心が徐々に肝が据わるというのか、落ち着いてくるのである。

聖書によると「天使(エンジェル)は、この世界が生まれる前から存在していて空中に満ち溢れている」と説かれている。これはどこかで読んだような気がする。そうだ大乗仏教の仏典に登場する観音菩薩である。「観音信仰」で有名な観音菩薩は浄土に昇れる仏格なのだが、敢えて地上に留まり、いろいろな人物に変化しながら衆生救済に走り回っていると説かれているのだ。そしてその数は虚空に遍満しているとも言われている。ヨーロッパも中東、インド、中国もシルクロード文化圏の点と線で繋がっている。ひょっとして天使と観音菩薩はルーツを辿ると同じ聖者だったのかもしれない…と、妄想を膨らませてみた。

秋の深まる中、ようやく僕の絵画制作が再開された。次のゴールはまだまだ先が見えない。


画像はトップが制作中の『夜の天使』の部分。下が向かって左から制作中の手、固形水彩絵の具、筆、イタリア・ルネサンスのアンジェリコとベッリーニ作「天使」の絵画作品部分図。


            









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1 コメント

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いつもお立ち寄りいただきありがとうございます。 (uccello)
2018-11-17 19:16:04
ブロガーのみなさん、いつもマイブログにお立ち寄りいただきありがとうございます。
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