普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

暫定税率廃止―間を置かずに環境税?

2009-11-01 07:32:11 | 鳩山内閣

 今日の朝日新聞(web版)の社説暫定税率廃止―間を置かずに環境税をで概要次のように書いています。
 鳩山政権にとって初の税制改正の焦点の一つは、ガソリン税などに上乗せされてきた暫定税率の扱いだったが、鳩山由紀夫首相は「暫定税率はいったん廃止する」と述べ、政権公約通り廃止する意向を明らかにした。
 そうなると次は、民主党がかねて掲げてきた、温室効果ガスを増やさないための新税はどうするのか。そこが注目点となる。
 暫定税率の廃止により総額2.5兆円の減税となる。消費者にはガソリン値下げへの期待も少なからずあり、民主党の看板政策の一つだ。
 だが、ガソリンの大幅減税はガソリン需要の増加につながる可能性が強い。これは鳩山政権が掲げた「2020年までに温室効果ガスを25%削減する」という目標と矛盾する。12年までに6%減らすという京都議定書の目標達成さえ危ぶまれる今、採るべき政策とは思えない。 (これは朝日、読売、産経がかねてから指摘してきた問題です。)
 民主党は政権公約に「将来的にはガソリン税などは地球温暖化対策税として一本化」することもうたっているのだから、こちらの早期導入とセットで検討すべきである。
 小沢鋭仁環境相は来年度の税制改正要望で、ガソリンなどに課税する2兆円規模の温暖化対策税の導入を求めた。 (つまり暫定税率廃止で2.5兆円減税、消費税をあげない代わりに温暖化対策税で2兆円増税。)
 もし鳩山政権が参院選対策として暫定税率の廃止だけを先行実施すれば、ガソリン価格はいったん下がるが、しばらくして新税の導入で再び上がる。 (鳩山さんの公約は国民との契約発言、小沢さんの選挙優先の考えからこういうことになりそうな気配です。)
 政権内でも暫定税率廃止と新税をセットで考えようとの動きも出ている。景気悪化で税収が激減しているためだ。藤井裕久財務相は将来の課題としてきた温暖化対策税の前倒しの検討を政府税制調査会に促した。
 鳩山内閣が政権公約で掲げた子ども手当などの新政策の財源の不足が心配されていることからも、減税だけ進めれば赤字国債の増発にますます頼らざるをえなくなるからだ。
 暫定税率廃止で8千億円の税収を失う地方自治体からも、その穴埋め策として「地方環境税」を創設してはどうかとの提案が出ている。
 こうした状況を考慮すれば、暫定税率の廃止に合わせて間を置かず温暖化対策税を導入すべきではないか。 (これも前に書いたように鳩山さん、小沢さんの考え方から考えれば、暫定税率廃止してしばらく間を置いて(例えば来年の参院選後)に環境関連税を提出することになるかも知れません。)
 新税の導入に時間がかかるなら、暫定税率の廃止を遅らせればいい。将来を見据えた見地からエネルギー環境税制を作り上げていく。何よりもそのことが求められる局面だ。

[私の意見]
  税収の低下、(朝日の社説では取り上げて居ませんが)高速道路の無料化、暫定税率の廃止と温暖化対策25%カットの政策の矛盾は、衆院選の前から判っていることです。
 そして民主党が政権を取っていざ現実に当たって、この矛盾を解決せねばならぬ羽目になるのは眼に見えています。
 谷垣さんは代表質問で民主党の公約は羊頭狗肉だ批判しました。
 暫定税率廃止で2.5兆円減税、消費税論議はしない発言→環境関連税の導入で2兆円の増税は羊頭狗肉までは行きませんが、「看板に偽り」ありのたぐいでしょう。
 こうしたことが生れたのは、前々から指摘してきたように、選挙対策用のばら蒔き政策が先にあり、その整合性の確認などを怠ってき為だと思います。
 
しかしこれは民主党内閣が自分で撒いた種ですから自分で刈り取るしかありません。

[公務員経費20%の削減の公約のからくり]
 「看板に偽り」で思い出すのは、公務員経費20%の削減の公約です。
 テレビに良く出る有名な某批評家が自治労を支持母体とする鳩山政権が公務員の首切りなどできるとかと批判していましたが、これにも巧妙な抜け道があるようです。
 民主党政策集INDEX2009 
行政改革・地方分権推進と国家公務員総人件費の削減に、
  大胆な地方分権等の結果、国家公務員の定数も大幅に減少すること等により、国家公務員総人件費2割以上削減することが可能になります。
と書いてあります。
 つまり先ず地方分権で政府管掌業務を地方に移管し、それに従事していた公務員も地方自治体に転勤させることで「国家公務員総人件費」を20%削減すると言っているようです。
 然し転勤した公務員の経費を自己負担で受け入れるほど財政に余裕のある地方自治体はいませんので、当然その経費は政府が交付金の形で支出することになるでしょう。
 言葉を代えて言えば、 「国家公務員総人件費」を20%削減しても、国から言えば地方交付金などの別の費目に20%削減分が上乗せ させるだけですから、国全体としての経費削減にはなりませんが、鳩山政権は「国家公務員総人件費」を20%削減の公約を自治労の反対なしに実現できるのです。
 暫定税率の廃止など鳩山政権の公約はこれからも、そのぼろが次々に出てきそうな気配ですが果たしてどうなるのでしょう。

[鳩山政権のこれから]
 然し国民の多くは民主党の政治主導の行政改革に期待して、「不満の自民党」から「不安の民主党」に政権を託しました。
 私たちは鳩山政権の政治の透明化に期待して、その成り行きを見守るしかありません。
 然し政権獲得から臨時国会開会まで過去最大の期間を取り、その間に(日航再建問題は致し方ないと思いますが)八ツ場ダムなどを始めとする既成事実を積み重ねてきました。
 そして報道によれば臨時国会でも国民の眼に晒される、予算委員会の質疑を自民党の10日の要求に対して民主党がわから僅か1日の主張、折り合っても僅か3日で決着がついたそうです。
 鳩山政権はその政策に自信があるなら、そして政治の透明化を主張するなら、もっと国民の眼に触れる形で、政治運営を進めるべき だと思うのですが。
 公開での事業仕分けなど、政策を明らかにするよりその公約と同じように国民の人気取りに終わるような気がしますが、果たしてどうなるのでしょうか?

 朝日の社説のいうように、暫定税率の廃止と環境対策税の創設(とその両者の決定を何時するのか) 、公務員経費の本当の意味での削減、政治の透明化などなど、これからの鳩山政権の本気度を試されることになりそうです。

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