処刑場が公開されました。
それに就いて読売が「死刑刑場公開 まだ開示すべき情報は多い」と言う社説で概要次のように書いています。
死刑が執行される東京拘置所の刑場が報道機関に初めて公開された。
裁判員制度が始まり、国民が死刑判決にかかわる可能性がある時代になった。これまで情報公開に消極的だった法務省も、姿勢を転換する必要性を認めたのだろう。
千葉法相は今月、死刑制度のあり方を議論する勉強会を省内に作った。もともと死刑廃止論者だった法相は、制度の存廃論議を始める方針も示し、国民的な議論の必要性を強調している。
法務省の内部には、死刑囚の最後の局面に関する詳細な情報を公開すると、執行方法や処遇などを巡る議論が、いずれ死刑廃止論議に結びついてしまうという警戒感があった。
死刑の現状を国民に知らせ、執行方法や制度の運用に見直すべき点がないのかどうか、問題提起する姿勢も必要だろう。
内閣府の世論調査では、死刑制度容認派が8割を超えている。罪に見合う処罰として極刑を求める被害者遺族は多い。
「存続か廃止か」の議論を急ぐのではなく、現行制度の運用を改善する視点の議論が望まれる。
昨日の読売テレビの「情報ライブ ミヤネ屋」で宮根さんが処刑場の説明とその背景に就いて述べた後、これから死刑に該当する犯罪の裁判に関わる裁判員は大変だと言っていました。
下記ようように裁判員制度反対の立場の私から見れば、死刑制度反対の千葉法相が処刑場公開を命じた意図ははっきり判るような気がします。
つまりこれを公開することで、素人の裁判員に強いプレッシャーを掛けて、死刑制度容認派が8割を超えている環境の中で、事実上の死刑廃止を実現することです。
私は死刑制度賛成か否かと問われれば首をひねるばかりの立場ですが、死刑反対論者が裁判員制度を利用して、事実上の死刑制度の廃止を狙っているやり方が許せないのです。
詰まり素人の裁判員にこの大きな問題に強いプレッシャーを掛けようとするやり方です。
当時の私のブログの「問題だらけの裁判員制度スタート」 の概要を見て下さい。
[裁判員制度の不思議]
・裁判への市民参加は良いとしても、何故、市民の常識を活かせる、然も国の政策を揺るがすような、そして問題判決の多い、原発反対、諫早湾締め切り、薬害、公害訴訟のような民事裁判ではないのか?
・何故、対象が死刑又は無期の懲役に当たる罪に関する事件なのか(*注記)
この説明には国民の関心を引くような大事件を選んだとされているが、何故同じ関心をひくような上記の民事裁判では何故いけないのか?
・何故、専門的な知識のない素人の裁判員が量刑、然も無期懲役か死刑かという重い決断をくださねばならぬのか?
米国流の有罪・無罪の判決だけで済む、陪審員制度ではいけないのか?
・裁判員の秘密厳守の理由は判るが、何故、それに伴う心理的負担を墓場まで持ち続けるほどの負担を何一般の故素人が負わねばならのか?
・何故、天下の大新聞の読売ですら、今頃になってその社説で裁判員制度に疑問を呈するのか?
[私の意見]
私はこの疑問の多い裁判員制度が実施日になっても問題を残しているのは、
・この制度の提案者の公明党とそれを支持した弁護士会の有力者の不純な理由があるとしか考えられないこと
・この問題だらけ裁判員制度が他の大きな案件のために、碌に真剣な審議もなされないまま、そしてその経過も一番の当事者である国民の知らされないまま、どさくさの間に決まってしまった。 (後記参照)
<提案者の本音?>
提案者の公明党や弁護士会の有力者は死刑制度反対の立場だが、当時の世論調査では国民の70~80%は死刑制度を支持していたので、死刑制度廃止の法案は出しても、とても通りそうになかった。
当時は裁判員制度など余り問題にならなかったが、経済界が民事裁判への市民参加を提唱しているだけだった。
その動きに公明党が乗って、重大な刑事事件への市民参加を提唱し、小泉自民党がそれに乗った。
提案者の本音は、素人の裁判員に、その人の一生の重荷を負わせるような死刑判決を躊躇させることで、実質的に死刑判決の減少と言う実質的な効果を狙ったと思います。
[実際の経過]
そして事実は、「当初の対象が死刑又は無期の懲役に当たる罪に関する事件なのかの説明に国民の関心を引くような大事件を選んだ」とされているのに、裁判所は割合に簡単な然も軽い事件の裁判に起用して国民に裁判員アレルギーをとり除いてきた。
昨日のテレビの放送にあるように、(本来の対象の)死刑、無期に相当する事件に裁判員制度が適用されることになった。
そして千葉さんの処刑場公開の命令による裁判員へのプレッシャー。
どう考えても私が最初に考えたような、死刑実施賛成の世論を覆しそうに無い、同制度廃止論者か素人の裁判員を巻き込んでの、実質的な死刑制度廃止を考えているとしえ思われないのですが。
そして私が言うような、そして当初経済界から提案があった民事事件への裁判員制度の適用は、今の民主党政権の考え方、そして2大新聞の読売・朝日の最大のお客様は公明党の支持母体の創価学会など考えると、とても実現しそうにないのが残念です。
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注記:
・裁判員制度が提出されたときの国と国会の状況
このような問題ダラケの法案が碌に審議もされず、マスコミも碌に報道せず、 (私のように)一般国民も当然知らないままあれらあれよと言う間に法案が通過しました。
その理由は当時の国や国会の審議の状況を見れば判ります。
2003年(平成15年):イラク戦争勃発。自衛隊イラク派遣が始まる。
2004年(平成16年):イラク日本人人質事件。年金未納問題。新潟県中越地震。
同年5月 裁判員制度成立
この様な時期だから、国民やマスコミの関心は他の方に向いていたのでしょう。
こう言う機会を捉えて公明党が提案したなどの謀略とまでは考えたくありませんが、不幸な偶然で、国民生活に重大な影響を与える法案が成立したのでしょう。
・裁判員制度の対象事件
1.死刑又は無期の懲役・禁錮に当たる罪に関する事件(法2条1項1号)
2.法定合議事件(法律上合議体で裁判することが必要とされている重大事件)であって故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪に関するもの(同項2号)