日本で「アシスト」を経営している米国人のビル・トッテンさんの「白書が示す所得格差の原因」と言うコラムを見つけましたので、その概要を紹介します。
彼はその説で判るようにたびたび米国への批判しているユニークな米国人です。
・厚生労働省が発表した労働経済白書によると、日本の社会問題である「所得格差」の原因の一つは、政府が労働分野の規制緩和を進めたことにあるという。
・小泉さんは人件費を削減したい経団連の意向を受けて、労働者派遣の規制緩和を進めた。安い賃金で雇え、不要になれば解雇できる派遣労働者は資本家や株主、経営者にとっては便利であるが、働く側にはたまったものではないし、それがどのような結果をもたらすかは、先行して規制緩和を行っていた国(米英)を見れば予想はできただろう。
・(レーガン政権は、様々な規制緩和を推進し経済を建て直して、資本主義の共産主義に対する勝利に導いた一方、インド、中国の台頭などよってアメリカの崩壊が始まった。)
・(規制緩和もメリットがあるが)規制緩和によってもたらされた益とその受益者の数、それによって失われたものと見捨てられた人々の数を比べると、規制緩和の真の意味が弱いものを守る規制を取り払うこと、と言ってもいいかもしれない。
・資本主義における意思決定で、もっとも重要視されるのは利益である。労働者や消費者を犠牲にして、経営者や株主が受益者となるのだ。
・しかし企業が繁栄し成功することは、良い社会を築くための手段であって目的ではない。所得格差の原因がわかったのなら、それを解消することもできるはずだ。あとは政府が実行に移すかどうかである。
[私の意見]
・トッテンさんの最後の言葉の「企業が繁栄し成功することは、良い社会を築くための手段であって目的ではない」は正に日本の昔からの企業理念である「企業活動を通じての社会貢献」と同じ考えです。
・日本企業はリーマン・ショックで彼が言うように大量の派遣労働者を解雇しました。
正に彼の言うように良い社会を築くための手段のための企業活動であるべきなのに、その逆に企業は社会に迷惑を掛け散らしたのです。
・一方の企業は彼の言うように便利な派遣法により労働者の犠牲のもとで繁栄したか、または何とか生き延びてきたのに、そして政府や地方自治体はは厳しい財源をはたいて大量解雇された人達の救済にあたったのに、経団連などから彼らの支援に当たった話しは聞いたことがありません。 (企業ばかり良いことをして、困った時は政府や自治体任せなど、そんな馬鹿なことがあるでしょうか。)
・社会不安の元と言われている所得格差の問題では、給与生活者に限っても、30代のサラリーマンの平均年収は約480万円前後に対し(ほぼ同年代と思われる)派遣労働者のそれは200万円前後だと言われています。 (数字のデータあちこちのデータを拾ったので概要の数字だとして読んで下さい。)
・勿論優良企業と言われる中には厳しい環境にも何とか正規従業員だけ採用し、然もリーマンショックでも何とか解雇せずに乗り切った所もあるそうです。
そしてその会社にはほぼ100%と言って良い程優秀な経営者が経営に当たっいます。
・私は前回のエントリーで経営者の質の向上の必要性を書きました。
丁度その日か翌日にテレビで田原総一郎さんが、社員で思い切った斬新な提案をする人は、せいぜい常務止まり、企業のトップになるのは「可もなく不可もなく」過ごした人達ばかりだと言っていました。
私の元上司で旧制中学卒の課長は東大や東京工大出のエリートの技術者のことを「カタログ・エンジニア」だと言っていました。
詰まり彼らはそつなく仕事をするのは上手いが、カタログやマニュアルに書かれたことを忠実に実行するだけ、それで困ったら自分の独自の判断が出来ずに、直ぐにメーカーに頼ることをことを言ったのです。 (勿論入社して間もなく課長、部長になるので自分で判断するには経験不足もあるのですが。)
然し彼らがそのまま、然も碌に経営の勉強もせずに、経営陣まで登り詰めたらどうなるのでしょう。
そして、そしてそんな彼らに労働者派遣法という便利な道具を与えたら。
その結果が、リーマンショックによる派遣労働者の大量解雇騒動です。
然しリットンさんの言う社会格差の解消は、私が何時もいう低賃金の多くの人民を有する中国など新興国の台頭→日本の競争力の低下と言う難問が横たわっているし、簡単に解決できないと思います。
それで唯一できそうなのは、派遣労働者救済のために国や地方自治体が労働者派遣法のために余分な財政支出をしなくて済むように、派遣労働者への雇用保険の積み立てと、その加入を容易にすることを義務づけることです。
現在は保坂展人さんのブログによると、雇用が不安定で失業に結びつきやすい派遣労働者が雇用保険でしっかり守られているのではなく、逆に加入条件を厳しく制限されているそうです。
私の提案に伴う企業の負担を軽くするためには、今問題となっている法人税の減税とセットにすれば良いと思います。
提案の利点
・派遣労働者の身分の保護
・「可もなく不可もなく過ごして」トップになった人達が安易に派遣労働者に採用して、また前回のように社会や国に迷惑を掛け散らさないように、ブレーキを掛けること
・社会不安の元となる社会格差の解消のための派遣労働者の増大に防止に少しは役立つこと
私は小泉さんの規制緩和や労働者派遣をの適用範囲拡大は、経営者が全て優秀であると言う言わば性善説に似た前提に立った施策であると思います。
これからは経営者の中には余り優秀でない人も可なり多くいると言う前提に立って施策を考え直す必要があると思います。
小泉さんの言うように自己責任で済まされずに、競争社会の敗者を国や自治体でなんとかしなくてはならぬのですから。
日本には米国のようにビル・ゲイツさんのように、金持ちが資金を出して敗者を救済すると言う文化はないのですから。
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