厚生労働省は25日、後期高齢者医療制度を廃止して2013年度から新制度に移した場合の保険料負担の試算を、厚労相主宰の高齢者医療制度改革会議に提示しました。
その概要は、
・現制度の後期高齢者医療制度加入する1400万人のうち1200万人を国保に、200万人を大企業の健康保険組合(健保組合)や中小企業の協会けんぽなど被用者保険に移す。
・問題の国民の負担は
a.保険料(括弧内は現制度の料金の増減)
2010年 2020年 2025年
75歳以上 6.3 8.5(△0.2) 9.5(△0.6)
75歳未満(下記による)
国民健康保険 9.0 11.2(△ 0.3) 12.9(△0.6)
協会けんぽ 17.1 21.6(△0.3) 24.3(△0.3)
健保組合 19.5 25.6(△0.4) 28.9(△0.4)
共済組合 21.7 29.1(0.9) 33.0(1.3)
b.医療機関を受診した際の窓口負担 70~74歳:1割→2割
c.公金の投入
高齢者の医療費のうち窓口負担を除いた「医療給付費」の47%から50%に上げ、新たに3500億円を支出する。(以上読売新聞より)。
27日のフジテレビの「とくダネ!」で新たな医療制度の保険料試算に就いて東北福祉大学教授の岩渕勝好さんが解説していました。
新制度の問題点
・団塊の世代の大量退職で新制度に対象者が大幅に増えて来る。
・大企業の健保組合の数はこの10年間で大幅に減少し、あまり機能していない。
・高齢者の負担が減る分だけ若い人達の負担が増えて来る。
・然も少子高齢化による人口構成の不均衡による若い人達の負担が益々増大する。
・全体の医療費の増加
・個人の属する保険と年齢によって負担が大きく違ってくる
などを挙げて、新医療制度の試算でまかなえるものか疑問視していました。
これに対して読売はその社説で、
・医療費のかかる後期高齢者は今後、大きく増加する。その負担を後期高齢者だけに求めきれない以上、どこかで肩代わりしなければならない。負担の見直しは、やむを得まい。
・しかし、そうした財源論がないまま、新しい制度の議論が進められている。政府・与党が「後期高齢者医療制度を廃止する」という政権公約の実行を急いでいるからだ。
・政府・与党は、税と社会保障の一体改革を検討する会議を設け、消費増税の議論に着手した。その行方によって、新しい高齢者医療の選択肢も変わる。
年金や介護などとともに高齢者施策全体で、抜本改革を進める必要があろう。
と批判しています。
[私の意見]
・保険制度の骨格を支えてきた大企業による健保組合の解散の増大傾向、少子高齢化に伴う人口構成の悪化は読売の指摘する財源問題とともに、高齢者医療制度だけでなく国民全体の健康保険制度を見直す時に来ているような気がします。
・後期高齢者医療制度発足時の批判の的になったのは、後期高齢者を特別扱いにすることと、その名前、保険料を議論の的になっている悪名高い年金天引きにしたことでした。
私は厚労省の説明のように75%近くが対象者の負担が減ると言う説明、それと自分の保険料が減ること、窓口の自己負担が1割に下がったこと、家内が年金天引きの方が便利だと言ったことから、当時の新制度がマスコミや当時野党の民主党の攻撃の的以外にも多くのよい点があると書いて来ました。 (マスコミは政府の攻撃ばかりせずに、どうしてこのよい点も触れなかったのでしょう。)
事実は読売の指摘のように民主党が自民党政権を攻撃してきた手前、中途半端で先の見えない政策を打ち出してまた批判を浴びることになったような気がします。
これは私が80迄ボランティアとして働いてきた経験からの持論ですが、
・70歳代でも元気な人達が増えて来た現実から、国は彼らの有効利用を図ることで、税収を増やし、年金財政を楽にし、年金の支給削減限度内での低賃金の労働力の確保による企業競争力の回復、ボランティア活動への参加などによる地域の活性化など期待できると思います。
・その為には国も企業も40歳代からの従業員の健康管理を強化すること。使い捨て同様の長い残業の禁止、休暇取得の奨励などして、少なくとも丈夫で長持ちのする従業員にする必要があります。
そしてそれが健康保険、介護保険の財政状況改善に繋がると思います。 (従業員の健康管理の費用と医療費、介護費を比べて見れば直ぐ判ることです。)
・若い人達自身も、現役中の仕事に自分の身を捧げると言う価値観もあると思いますが、定年後20~3,40年も如何に過ごすかを考える必要もあるような気がします。
政府は医療や介護問題に取り組むのも必要ですが、もっと前向きに如何に国民を健康に保ち、定年後も生き甲斐を持って暮らせるかにも力を入れるべきだと思うのですが。
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